第39話 ムーンポッケスコーヒー

 本日中に異界域の攻略が終了する可能性が高いと、ファーストチームである獅子柄さんの班から連絡があり。


 異界域の近くで待機状態になった私たちは、スミマルの近くにあるカフェチェーン店”ムーンポッケスコーヒー”で軽食をテイクアウトし叢雲から手配された専用車の中で時間を潰していた。


 新東都女学園は下は六歳から上は二十一歳まで、幅広い年齢層の学生マスターが在籍しているため異界域までの移動などで車を動かす際は免許を持っている先輩たちが手を貸してくれるのだ。


「ねねっ、私のサーモンケッパーサンドとアイのハーブレモンソーセージサンド半分こづつ交換しない? 」


「いいよ~今カットしちゃうねっ」


 叢雲の車両はキャンピングカーのような造りになっているので、テーブルの上にムーンポッケスで買ったお昼ごはんを広げ月替わりで更新される二種の特製サンドをアイとシェアしていると。


 美味しそうな香りに釣られたのかティアが私の足元にぬちゃりと絡みついてきた。


「ひゃぁっ…! もうっ、ティア…ダメだよ! じっとしててね」


「■■ゥゥ…」


 異界域の中に入る前であれば、召喚力の消費が始まらない為。


 盟友界から喚んでおいたエデンが、ティアをそっと抱えメアリーちゃんたちと共にテーブの反対側に座った。


「でもなんか…学園の外でメアリーちゃんたちを召喚してると、ちょっとドキドキするね…」


「うん…。 叢雲の車両は、窓から中が覗けない仕様になっているし…。 そもそも、マスターじゃない人たちにはデモンやセインの姿は見えない筈だけど…。 ちょっと緊張するよね」


 エデンに関してはもしも姿を誰かに見られてしまっても、何かの衣装で誤魔化せるかもしれないけど…ティアやメアリーちゃんなんかはどう頑張ってもアースターの生き物には見えない。


 マスター以外の人間には見られる心配はないんだって頭では分かっていても、なんとなくソワソワしちゃうのはアイも私と同じみたいだ。


(異界域の近くは何が起きるか分からないから…エデンたちを召喚したまま待機してるようにっていってたけど…)


 もしも今、異界域の中から天使や悪魔が出てきちゃったとしたら…。


 セインやデモンが護ってくれない…マスターではない人たちは、どうすることも出来ないんだって…。


 その時、私たちはどれだけの人を助けられるんだろうって。


 マスターになる前は、何も知らなかった分感じることのなかった色んな不安が湧いてきちゃうんだ。


「異界域の攻略…うまくいくといいね」


「だね…。 きっと大丈夫だよ。 先輩たちもファーストチームの獅子柄班はすっごく強いっていっていたし」


「だよね…! うん。 それじゃ、食べよっか」


「うんっ。 いただきますっ」

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