第38話 マッスルフレンド(仮)
「ジャック、やっちまえ!! 」
― コマンド承認 ―
「応ッ! ぶちかますゼッ!! 」
ファーストチームとしてスミマルCへと突入した獅子柄・先行排除班。
大量発生ともいうべきロストコアの異常な出現率もあって、彼女たちの異界域攻略は予想よりも幾分早いペースで進行していた。
「この辺りの敵も粗方片付きましたね」
「この調子でいけば、セカンドチームの最川班へ支援要請を行う前に楔の主を倒せてしまえそうです」
「あーそういや、今回アタシらのサポートについてくれてんのミツルんとこの班だったな…。 ミツルが班長として攻略に参加しているってことはアイツんとこ人員が”補充された”のか」
「はい。 新人のマスターが二名追加されたそうです」
「マスター、忘れちまったのかよ。 オレっちが訓練に付き合った相手、その新人たちだぜ」
「おおっ、そうだっけか…? ん? つーか、新人ってことはジャック。 噂のSSSランクとも手合わせ出来たのか? 」
「SSSランク? 新人の話ですよね? 」
「ああそうだぞ、いきなりSSSランクのデモンを召喚しちまった期待の新人。 近日中にもリストが更新されて学生マスターの契約情報で見れるようになると思うが…そのデモンの名前はたしか、エデンとかいったか」
「残念ながら…オレっちはまだエデンとは会えてないんだゼ…。 だがッ! オレっちのマッスルレーダーによれば、エデンはなかなかのマッスルを秘めているッ! つまりオレっちとマッスルフレンドになるのも時間の問題なんだゼッ! 」
「いや、マッスルレーダーってなんだよ…」
”同じ”最高ランクのデモンとして、親近感が湧いたのか。
ジャックはまだ会ったこともないエデンと、マッスルフレンドなる友好関係を築こうとしていた。
「今のところ攻略は順調ですが、念のため最川さんのチームに作成したマップのデータを送信しておきましょうか? 」
「……そうだな。 ただ、突入はもうちょい待ってもらってくれ」
「はい。 日没前に攻略が完了するかもしれませんし、支援要請はまだ控えておきますね」
「ああ」
班員の言葉に、同意したようにみせてその実。
アミは全く別の考えでセカンドチームへの支援要請を遅らせた。
普段と違い、戦力を一つに集約し固まって行動している獅子柄班にとってロストコアだらけのスミマルCでの戦闘は楽勝といっても過言ではなく。
直感で散開することを避けたアミ自身も、このまま何ごともなく異界域を攻略出来てしまうかもしれないと思い始めていたのだが…。
それでもまだ拭い切れない違和感が、新人マスター二人を擁するセカンドチームへの支援要請…つまりは新人たちをこの場に突入させることに繋がる行為を躊躇させたのだ。
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