(NEW)第16話 封納解除

 プラスチックケースを空けると、中には自転車に乗る時に付けるようなプロテクターが仕舞われていた。


「これが幻異武装…」


(もっと頑丈そうな鎧みたいなのを想像してたけど……こういう感じなのかぁ)


「ふふっ、意外と軽装でなんだか心もとないなって思ったでしょ? 」


「え゛っ」


「今度は、なんで分かったのって顔ね」


「ミサちゃん、昔から表情に出やすいから……」


「うそっ、そんな顔に出てた!? 」


 マイさんに「これじゃあ考えてることが筒抜けよ」とほっぺをつつかれ。


 通りで昔からアイにババ抜きで負け続けるわけだ……! と小さな謎が解けた気がした。


「でも、ミサキさんが抱いたイメージは間違いではないわよ。 この幻異武装は扱いやすく、動きやすいけど防御力はそこまで高くないの」


「そ、それって大丈夫なんですか?」


「ええ、もちろん防御力が高いに越したことはないのだけれど……性能が高い幻異武装はそれだけ扱いが難しいから。 マスターになりたての二人には、叢雲から支給されたこの武装が最適なの」


「そうね。 それに、まだ新米とはいえマスターになった時点で一般人とは比べ物にならないレベルで肉体の強度が上がっているから、幻異武装の防御力が低い事をあまり深刻に捉えない方がいいわ」


 先輩たちの話によると、幻異武装には性能の優劣で分けられたランクがあって。


 高ランクの武装になればなるほど性能も上がるけどその分扱うのも難しくなっちゃって、自分のレベルに見合わない幻異武装を無理やり身に着けたとしても本来の力をまったく発揮できない……なんてことになっちゃうみたい。


(それなら、ランクが低くてもちゃんと力が発揮できる武装の方がいいもんねっ)


「それじゃあ、次に武器の説明に移るわよ」


 支給された幻異武装の着脱方法を一通り教わって。


 全身にプロテクター状の防具を取り付けたところで、最川先輩が叢雲と刻印されたケースをもう一つ取り出した。


「まずは開封して、中身を机に置きなさい」


 先輩の指示に従い、ケースから中身を取り出す。


「わっ…! 何これ!? 」


「黒い……板? 」


「ふふっ、今はまだセーフティーロックが掛かった状態だから武器には見えないわよね」


「それは武器カテゴリー”カタナ”に分類される幻異武装よ」


「これが、カタナ…」


「今の二人なら手をかざして”封納解除ふうのうかいじょ”と口にすれば、セーフティーロックが解除されるはずよ」


 マイさんに促され、長方形の黒い板に手をかざす。


「封納解除」

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