一章 訓練施設!? 仮想異界域を攻略せよ!
(NEW)第15話 クマー!?
叢雲が全国にいるマスターの総数を完全に把握しているわけではないけど、日ノ照の総人口から考えればマスターの数はだいぶ少ないらしい。
そういう理由から、学生マスターが所属する学園も各エリアに一つずつといった感じで。
私たちが通う新東都女学園や、姉妹校である西京府女学園のように都市の名前がそのまま学校名に使われているんだって。
最初に聞いた時はどうしてどの地域の学校も女子校と男子校で分かれてるんだろ…って思ったけど。
異界域の中では、緊急時衣服を取り払って治療行為を行ったり攻略が長期化した場合休憩できそうな場所を見つけて一夜を明かしたりする関係上。
異性と同じ部隊になるのは抵抗がある子もいるから、通常は同性のマスター同士で組むことになるんだって。
だから、マスターとして任務をこなしつつ色んなことを教えてもらう学校自体も最初から男女別になってるみたい。
(たしかに…セインとかデモンならエデンのように男性だとしても、治療行為中だけ盟友界に行っててもらったりできるけど…相手が人間だとそうはいかないもんね…)
緊急時に何を気にしてるんだって感じもするけど、やっぱり知らない男の人に裸を見られたり…必要とはいえ一緒に寝たりするのは嫌かもしれない。
「ミサちゃん、準備できた? 」
「あっ、うん。 お待たせっ」
「それじゃあ、まだちょっと集合時間には早いけど…。 先に、行ってよっか」
「うんっ、行こ」
(そ、それに。 私はともかく、アイのあんな姿やこんな姿をどこの馬の骨とも知れぬ輩に見せるわけにはいかないもんっ)
そう考えると、叢雲が男女で部隊を分ける配慮をしてくれて本当によかったと思う。
◇◆◇
「わぁ~! 綺麗な石…! 最川先輩っ。 なん何ですかっ、これっ! 」
「あはは…。 ミサちゃんは本当に石が好きだよね…」
「だって石だよ! ロマンの塊だよ~! そんなものがちょっと地面に目を向けただけであるんだよ! 」
「はいはい、分かったから少し落ち着きなさい」
「ふふっ、ラッキーストーンの話を聞いた時に思っていたのだけれど…ミサキさんは石を拾って集めたりしてたの? 」
「はいっ! お父さんがよく河原に石拾いに連れてってくれて…」
「そうなの…。 でも残念、これは石ではないわ。
「エネルギーですか? 」
「ええ、今から貴女たちにはこの幻異結晶を砕いて。 結晶内に閉じ込められているエネルギーを体に取り込んでもらうのだけれど…。 その前に、質問よ。 私は今、どんな格好をしているかしら? 」
「最川先輩の格好ですか…? 」
「えっと…学生服? 」
「ぶぶー不正解~」
「ちょっとマイ、遊びじゃないのよ」
「いいじゃない、勉強だって楽しくやったほうが身につくわよ」
「……。 ま、まあいいわ…。 それじゃあ二人とも、今渡した幻異結晶を砕いてみてくれるかしら? 心配しなくても、少し力を籠めるだけで簡単に割れると思うわ」
「は、はいっ」
「よーしっ。 そりゃっ」
こんな綺麗なモノを壊しちゃうのは勿体ない気がするけど…今は授業中だししっかりと先生の指示に従わなきゃねっ。
「砕いた幻異結晶のエネルギーはね、結晶を壊した人物に自動で吸収されていくのよ」
「さて。 改めて質問するわ。 私の姿は今、どう見えてるかしら? 」
「えっ、あれっ、なんでっ!? クマ!? 着ぐるみ!? 」
「か、可愛いです先輩っ…! 」
「その様子だとちゃんと見えるようになったみたいね」
「今ミツルちゃんが着ているのは幻異武装といって。 マスターの戦闘をサポートしてくれる専用の防具や武器みたいなものなの」
「これから貴女たちに、叢雲から支給された幻異武装を渡すから。 今日はそれを使って、装着方法や取り扱い方を覚えていきましょう」
「ってことは……私たちもクマちゃんになるんですか? 」
「ふふふっ、いいえ。 ミツルちゃんが着てるこれは、異界域で入手したユニーク品なのよ。 叢雲からの支給品はもっとシンプルな見た目だから、二人がクマちゃんになったりはしないわ」
「え~なんだ…残念。 クマちゃんになってるアイも見たかったな~」
「わ、わたしには似合わないよぉ…」
「絶対似合うし可愛いって」
「か、かわ……っ ////」
頬を赤く染め、照れているアイをからかっていると。
最川先輩が”叢雲”と刻印されたプラスチックケースを机の下から取り出した。
「この中に貴女たちの幻異武装が入っているわ」
「まずはこれを開封して、一緒に中身を確認していきましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。