第18話初恋
朝学校に来てみると、いつもは早くに登校しているロッテが居なかった、例の花も飾られていない、何かあったのではないだろうか。
何かクラス中雰囲気が暗い気がする、あのヴァーグナーさえも……
「ヴァーグナー、ロッテはどうしたんですか?何かご存知のようですが、教えてもらえませんか」
「……ロッテにはファースト君には内緒にしておいてくれと頼まれてたのですがァまだ間に合うかも知れません……」
ヴァーグナーによるとロッテの両親が亡くなり、一人娘のロッテが家督を継ぐ為に実家に帰ってしまうというのだ、僕は急いでロッテの王都での家に向かった。
ロッテ、ロッテ、シャルロッテ!
「ロッテ!良かった間に合った、事情は聞きましたが僕に内緒なんて……」
「ファースト君!嗚呼ごめんなさい、こうでもしないと私ツラくて耐えられそうもないかと思ったの、でも最後にファースト君の顔を見れて良かった……」
「どうしようもないのですか?だってロッテは、僕は、僕たちは……」
「もちろん悩んだわ、悩んで悩んでそれでもこうするしかないと結論……出しちゃった」
「僕が優柔不断だからなのもあったりするのかもとも考えたりしますが……」
「確かにファースト君との間には障害があるけどそれを超えても私、ファースト君の事が好きだよ!でも何もかも捨てて破滅してでも2人でって訳にもいかないよねって……」
「僕もです!僕もロッテが好きです、今衝動的になってるのかもですが、何もかも捨ててもいいと思えるくらい……でも理性がそれは違うって言ってますねロッテと同じなのでしょう」
「ホント、私たちって似た者同士だよね、寂しいけど悲しいけどお別れを選んじゃったけど、私ファースト君の事は死ぬまで忘れない!ずっと心の深い場所で想い続けてる!」
「僕もロッテの事は、死ぬまで忘れません心の深い場所でっていうか今、自分の全部がロッテでいっぱいだけど……理性が今だからなのだと告げています」
「私もホントはファースト君の事で頭がいっぱいだよ!でもそろそろケリをつけなきゃね、サヨナラ私のファースト君……」
そう言ってロッテが僕にくちづけする、触れるだけの軽いキスだったけど、お別れの最初で最後のキスだけど、お互いを深く解りあってる2人にはもう充分なものだった、2人はその時ひとつに溶け合ったんだ。
***
どれくらいの間、喪失感や悲しみに捕われていただろう?
でも大抵のツラさは時が解決してくれる、時間薬というやつだ。
落ち着いてみて僕が考えること……
「リタ、愛してますよ」
「ウッホんもちろん私もだが、何かあったかファースト?」
「正直に言うと僕はロッテに恋していました、順番がおかしい気もしますが初恋だったとも思います、
でも喪ってみて、時間が過ぎて落ち着いたらあれは熱病か何かにうなされていたような、確かに情熱は存在しましたが気持ちが嘘だったとは思いませんが、なにか夢の中にいたようなフワフワした感覚です、古今東西語られているように、これが初恋なのですね、でも今そんなに悪い気分ではないのですよ、でリタの事はどうかなと考えたら愛だなと愛情を感じていると再認識したのです」
「私はファーストを愛してもいるが恋してもいるぞ、恋愛ってやつだな」
「リタは美人なうえに寛大で優しくて、こんなまだまだな僕の事を好きだと言ってくれる、リタの事を知れば知るほどその度に惚れなおしています」
「ファースト、私はキミの謙虚なとこが好きだ、前向きなとこが好きだ、優しいとこが好きだ、もちろん可愛い顔や柔らかな髪や明るい所も好きだ……後100個くらい言えそうだが何より私に惚れてくれているところが好きだな、お互い惚れなおしてを繰り返して惚れ合い尽くそうじゃないか」
リタがいてくれて良かったロッテも……僕は人を好きになる事を2人の女性に教わった。
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