第14話もってる女
ヴェツラー学園クラス対抗運動会。
グリンやクリスの意外な活躍と、僕の軽い無双もあって、ここまで魔法科が順位トップでいよいよ最終戦の騎馬戦を残すのみとなった。
現在、魔法科500点、戦士科100点、以下その他のチーム、科学科においては0点という。
しかし最終騎馬戦の意外な得点がアナウンスされた。
勝利チームには1万点が付与されますだって、いやっまあお約束ではありますがね。
ここで待ってましたとばかりに科学科が吠える。
「ふはははは愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ我々は先輩からこの得点配分を聞いて知っていたのだよ。そしてすべてをこの騎馬戦にかける所存!」
確実に勝ちに行く為、そして危険に晒さない為にロッテには女の子チームで逃げ回って貰う作戦を立てた。
そしてストライカーチームは僕が前の馬後ろの馬にはグリンとヴァーグナー、騎乗するはクリスである。
騎馬戦が始まるや否や科学科が地面に何やらしたかと思えば、地面が盛り上がり土のゴーレムが現れた。
ゴーレムは馬の体に人の体が乗っかっている姿、ケンタウロスであろうか?
ケンタウロスの頭にはハチマキ、ゴーレムも参加者として認められるようだ、なんでもありですね。
どの道勝つのは僕たちのつもりではあるし、兎に角かたっぱしからハチマキを奪って行く。
土のゴーレムの方を見ると周りに土の弾丸を飛ばしまくって他チームを寄せ付けないでいた、何がなんでも最後まで残ればいいという作戦のようである。
大方のチームを片付けたところでゴーレムとの対峙となった、ううっいやだなあ。
「クリス僕の肩に乗って、肩車です」
ゴーレムに近付くと土の弾丸が飛んできた、僕がその気になればかわせるがクリスの体がついて行かないだろう。
仕方なくクリスと2人で手刀で土の弾丸を叩き落としながら近付く、2人とも泥だらけである。
ゴーレムを停止させるにはあのコアをあの文字を探さねばならない、ゴーレムの体のどこかに隠されているのであろう。
クリスと2人で手刀でゴーレムの体を貫く、貫くだが例のコアは見つからない。
その間にもゴーレムは土の弾丸を周りに飛ばし続け、僕とクリスや周りに居るものたちは泥だらけになっていく。
運動着をこんなに汚してしまって、帰ったらリタに怒られないだろうか、ううっ早く終わらせてお風呂に入りたい。
僕とクリスはもうヤケクソ気味にケンタウロスの姿のゴーレムを手刀で貫き続けた、どんどんゴーレムの体が崩れていく、あれっ頭のハチマキに手が届きそう、そう思った時、ゴーレムの後ろからハチマキが取られた。
「ゴーレム討ち取ったり〜!」
ロッテであった。みんなが泥だらけの中、1人真っ白な運動着のままで輝いて見えた。
もってる女の子だわ。
そしてそのハチマキの下にはemeth (真理)の文字が……手刀で頭文字のeを削り取りmeth (死)に変えると、ケンタウロス姿のゴーレムは動きを停止させ崩れ去って行った。
こうして優勝は魔法科クラス、MVPはロッテとなった。
僕の軽い無双は全部最後にロッテに持っていかれた、悔しいというより流石だなと吹き出してしまった。
家に帰るとリタが出迎えてくれた。
「なんだその情けない顔は?負けたのか?」
「その〜勝つには勝ったのですが、運動着を汚してしまった上に美味しいところは他の人に持っていかれたという」
「勝ったならよしっ運動着なら洗えば済む事だ、お腹が空いた事であろう戦勝会といこうではないか」
「ううっリタ優しいなあ」
こうして運動会は終わったのであった。
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