第15話成人

 特になんでもない日、僕はヴェツラー学園でヴァーグナーたちとダベっていた。


「そういえば皆さんのお誕生日って聞いてませんでしたね、この間はクリスの誕生日会やってもらったし今度は皆さんのも……」


「いやいやファースト君、そんな毎年、毎年みんなのお誕生日なんて祝ってられないですよぉ」


「そうなんですねこの国ではあまりお誕生日のお祝いとかしないのかな」


「祝うのは産まれた時、生誕のお祝いと成人になった時のお祝いくらいですねぇ」


「この国では15で成人なんですよね」


「そうですね例えばリタさんなんかは去年この学園を卒業して、直ぐに神殿騎士になって成人したのはその後とか多少はズレますが、15になると大人と認められますねぇ」


「歳はリタが15でロッテが14でしたね、ロッテは来年成人かあ他の人はいくつでしたっけ?あっ僕は12歳です」


「クリスはぁ10歳なのです……」


「僕も14でロッテと同じく来年成人ですねぇ」


「あら〜私とグリンは13歳なの〜」


「おや〜クリスのお誕生日会なら毎年やってもいいかな〜」


「私とファースト君は2歳差かまあもう少し歳をとれば気になるらなくなるわよねブツブツ……」


「じゃあ来年はロッテの成人を盛大にお祝いしましょうね、あっついでにヴァーグナーのも」


「僕のはついでですかファースト君、意外と酷いなぁ」


「「「アハハハハハ」」」


 リタと出会った時にはもう彼女は成人していたけれど、なんかお祝いしてあげたいなぁ。

 この間のお店でフルーツパンケーキとか気に入ったりするかな。

 クリスのお誕生日会の時にはリタはいなかったし、今度のお休みにリタの成人とクリスの誕生日を改めてお祝いするかな。


 で、次のお休みの日リタとクリスと例のパンケーキやその他なんでも美味しい"美味い亭BAR"にやってきた。


「ファースト、今日はありがとうな聞いた話によるとこの店に新しいパンケーキがメニューに加わったそうで、大変美味しいらしいのだ早く食べてみたくてなちょうどいいタイミングだったよ」


 その新しいパンケーキ、僕が開発したって言ったら信じるだろうか。


「では改めてリタの成人とクリスのお誕生日を祝ってカンパーイ」


「「カンパーイ」」


「おおなんだこのパンケーキはフルーツがたくさんのってるぞ、こんな贅沢しても良いのか」


「クリスこのパンケーキだーい好き……リタママも気に入るよきっと」


「うんっ美味い元々のパンケーキの美味さに加えてフルーツの美味しさが合わさってなんとも言えん絶妙な味わい」


「そういえばリタ、リタと僕は婚約者ですが、僕も成人しないと結婚とかは無理なんでしょうか」


「そんなことはないぞ片方が成人していれば相手は12歳から結婚出来る……がまあそう急ぐ理由もあるまい」


「そうですよね、成人の話を聞いちゃったから僕の成人までは遠いなとか思っちゃいました、そっかあ直ぐにでも結婚自体は出来るんですね、まあでももう少しこのままで婚約者というか恋人のままでいたい気もしますね」


「まあクリスのことを考えたら早く結婚した方が良いのかもとは思うがな、それでクリスが迫害される訳でもなしゆっくりといこうじゃないか、それにしてもこのフルーツパンケーキ美味いな」


 リタもクリスも満足してくれたようで何より、さていよいよ来週から魔法の実践的な授業が始まるわけだがどうなる事やら、今から楽しみでしょうがない。

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