第13話大運動会
運動会当日の朝、僕とクリスの出かけしなにリタが。
「勝って来るんだぞ」
と、一言だけ言って送り出してくれた。うん勝とう。
運動会は各クラス対抗で行われる。
本命戦士科、対抗職人科、大穴魔法科と、言ったところであるようだ。
先ずはリレーである、いきなりリレーかまあ各選手の力量を測るのにうってつけだろう。
うちのクラス魔法科の第1走者はグリンであった、アンカーは僕。
スタートだ、おっ意外とグリンが早い先頭を走ってる、そのままトップで次のクリスにバトンタッチ。
「おや〜ボクが1番かな〜みんな意外に思ってるんだろうな〜」
そのクリスだが早いなんてもんじゃない猛スピードで2位以下にかなりの差をつけて次のヴァーグナーにバトンタッチ。
「にゃはははははクリスがいっちばーん……」
普通のホムンクルスならただの人間と変わらないだろうが、僕の魔力が関与して産まれたクリスはただ者ではないようだ。
あっヴァーグナー自分で言ってたようにお世辞にも早いとは言えない、クリスが付けた差をどんどん縮められている。
何とか次のロッテにバトンが渡る、アンカーの僕までもたせてくれたら何とかなるとは思うのだけれど。
「ロッテ頼んだよファースト君まで繋げてくれれば、彼ならきっと何とかしてくれる!」
ロッテはフォームもキレイだし頑張ってる、けど戦士科に抜かさ……れた!悔しそうな顔をしている。仇はうつからね。
ロッテからアンカーの僕にバトンタッチ。
「ごめんファースト君、後は任せたよ」
僕は左足を軸に右足を思いっ切り踏み込む、次の瞬間右足がゴールに付いていた。
「瞬間移動?」「ワープ?」「魔法?」
などの声が聞こえてきたが、身体能力であるまあやりすぎた感は否めない、まだ上手く自分の能力をコントロール出来ない、この運動会で何か掴めないであろうか。
ふと足元を見ると科学科の選手が何やら紙に計算式を書いている、スタートすらせずにずっと計算していたようだ、科学科はこの競技棄権したようである。
次の競技は走り高跳び、先ずはグリンが10メートルの記録を出した結構凄くない?とか考えてたら、クリスが20メートルの記録を出した、我が娘ながら天晴れである、僕は30メートルほどにしておこうかな。
と、思ったがまだ力加減が判らないようで、30メートルのバーを遥かに超えて100メートルほど飛び上がってしまった、力加減って難しい。
それからいくつかの競技をこなして、僕は軽く無双しながらも、少しずつ力加減を覚えていったように思う。
後残すは大トリの全員参加の騎馬戦とその前に綱引きだけである、科学科がまったく競技に参加せず何かずっと紙に計算式を書いているのが不気味ではあるが、僕の気にしすぎであろうか。
綱引きも順当に勝ち進んで決勝で戦士科との試合となった、戦士科VS僕一人でも勝てるくらいではあるだろうが、それも大人げないので僕は1番後ろで念の為に綱を持ちながらも他のみんなに任せてみる。
綱引きが始まった、やはりクリスが頑張っているように見える、しかし相手は戦士科そう簡単に勝たせてはくれなかった、かけ声と共に急に綱が強く引かれた。
あっクリスが転んでしまった、僕はとっさに綱に力を入れてそれ以上引かれないようにしたが、クリスが涙目になってるのを見てしまった。
「ウチの娘になんて事するんですか!」
綱を握っていた全員が僕を支点に僕の後ろに吹っ飛んだ。
「あっごめ、つい、力が入ってしまっ……」
それを見ていたグリンとモモとの会話が聞こえた。
「おや〜ボクファースト君に惚れちゃったかな〜?モモ、強力な媚薬を作ってくれるかな〜?」
「あら〜お易い御用かしら〜ロッテの魅力にもリタさんの魅力にも負けない超強力なのを作って差し上げるかしら〜」
何か恐ろしい話をしている。
そして科学科、やはり競技には参加せずに何か紙に計算式を書いている、怪しい。
ここまでの競技で大分力加減も覚えてきたように思う、感情的にならなければね。
さあ残すは騎馬戦だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます