第12話お誕生日会
クリスの誕生日を祝ってみんなで食事に行くことになった。
ヴァーグナーに案内されてやって来たのは、以前リタと食べに来たことのあるパンケーキの美味いお店であった。
お店の名前は"美味い亭BAR"昼は美味しい食事を提供し、夜になると美味しいツマミと酒を出すことで有名なところらしい。
「ああここはパンケーキの美味しいお店ですね、以前来たことがあります」
「うんっ?ここはなんでも美味しいぞ?」
リタの目にはパンケーキしか入ってなかったようで……
学校が終わって夕方近くという半端な時間に来てしまったが、大丈夫だろうか。
「いらっしゃーい6名様だねこっちの席へどうぞ〜」
美人さんではあるが少し恰幅の良い、元気なウェイトレスさんが出迎えてくれた。
クリスを挟んで左に僕、右にロッテが座り、僕の前はヴァーグナーその隣にモモまたその隣にグリンという席順になった。
「なんでも美味しいって言われたら逆に何頼もうか悩みますね、クリスにはパンケーキかな僕はうーんビーフシチュー頼んでみようかな」
ロッテはアップルパイを注文した、リンゴ好きなのね。
ヴァーグナーはソーセージの盛り合わせ、モモとグリンはあやしいキノコのシチューをそれぞれ注文する。
ヴァーグナーが音頭を取る。
「諸君、今日はクリスの誕生日だということでみんなで盛大に祝い騒ごうではないか」
「「「おう!」」」
と、みんな
「おー?……」
クリスはよく解ってないようだ。
ほどなくして料理が運ばれてきた。
「ヴェツラー学園の生徒さんたち、ゆっくりしていってねと、言いたいところだけどもうそろそろお酒なんかも出す時間になるわ、喉つめない程度に急いでねハッハッハ」
くだけたウェイトレスさんである。
実は料理を注文する際にウェイトレスさんに頼んで置いた事がある、ケーキとロウソク。
ウェイトレスさん曰く。
「ケーキ?パンケーキじゃダメなのかい?クリームとか果物が乗っかったやつ?えっロウソクもケーキに乗せるって?まあ善処するよ」
って言ってましたが運ばれてきたのは、カットフルーツののったパンケーキにロウソク立てにのったロウソク。
「食べ物で遊ぶのはあたしが許さないよ」
まあよくやってくれたと考えよう、日本の誕生日ケーキを知ってたら残念に思うかもですが、知らなければこれはこれで素晴らしいかも。
「みんなにお願い僕に続いて歌ってください♪ハッピバースデートゥーユー♪」
「「「♪ハッピバースデートゥーユーハッピバースデーディアクリス!」」」
「クリス、ロウソク吹き消して!」
「ふぅーう!」
「パチパチパチクリス、誕生日おめでとう!」
みんな飲み込みが早くて助かる、それぞれクリスにお祝いの言葉を述べて盛り上げてくれた。
「んっ……みんなおめでとう……違うありがとう……にへへへっ」
よくは解ってないのだろうけど、クリスも嬉しそうで何よりだ。
運ばれてきた料理の数々はとても美味しそうであった、早速口にしてみる。
「うんっ!ホントに美味いですね、ホロホロのお肉にホクホクのお野菜深い味わい」
「パンケーキ……美味しい……」
「クリス、このアップルパイも食べてみて美味しいよ、はいあ〜ん」
「アップルパイ……美味しい……ロッテ……優しい……」
「ところでもうすぐクラス対抗の運動会だが、ファースト君は運動は得意そうだな、魔法科学科は運動苦手な人が多いからキミだけが頼りだよ」
「ヴァーグナーは兎も角ロッテたちもですか?」
「うん元気は有り余ってるんだけど、運動得意かっていうとそうでもないわね」
「あら〜私たちは魔法使えれば良いので運動は必要ないかしら〜」
「おや〜運動会ではファースト君のカッコイイとこ見れるかな〜」
僕は運動が得意というよりおそらく常時、身体強化の魔法がかかっているような状態だと推測している。
食べて話してるうちに少しずつ夜の部のお客さんが増えていたようで。
「あ"〜お前なんで大皿のフライドチキン全部にレモンかけちゃってんだよ!自分のぶんだけかけるもんだろ!」
こちらの世界でも唐揚げにレモン問題はあるようで微笑ましくもある。
「おっ兄ちゃん達ヴェツラー学園の生徒さんたちだな、若いってのはいいねぇこれは俺のおごりだ飲んでくれや」
「いや〜僕たちまだ未成年だからお酒はちょっとォ〜お気持ちはありがたいのですがァ」
「安心しなこれはジュースだぜ」
「おおそういう事ならいただきますよゴキュゴキュぶっ!これお酒!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃお酒は大人のジュースってな」
「ヴァーグナー!大丈夫ですか?」
「ファースト君、ぼきはらいりょーぶれすからおひついてねひゃひゃひゃひゃひゃ」
あんまり大丈夫そうには見えないけど……
基本、他のお客さんは楽しいお酒ではあるみたいだが、これ以上絡まれないように急いでお店を出た。
「みんな今日はクリスのためにありがとうございました、美味しいかったし楽しかったです多分クリスも」
「ひゃのしかったァまたみんひゃでこようではなひきゃ」
ヴァーグナー、大丈夫であろうか?
翌日、遅刻して来たヴァーグナーは頭が痛い痛いと呟き続けていた。
お酒は成人してから……ですね。
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