第3話 掛け布団のヒロイン
「はあ……もう……お婿にいけない」
「あら、文句を言う気? 神の体をここまで使い込んだくせに」
湯上りと恥ずかしさで頬を赤く染めながら、パジャマに着替えた神人とルゥは階段を上がり、神人の部屋へと向かう。
もう、全身の力が抜けて、後はベッドにダイブしたいところだったが……
「坊や様、おかえりなさいませ!」
「はぶっ!」
ベッドの掛け布団の方から神人にダイブしてきた。
「もう、お帰りが遅いので心配しましたよ?」
「アンファ……むごむご!」
「さあ、いらしてください、坊や様。今宵も朝までずっとご一緒させていただきます」
アンファ。そう呼ばれた女が神人に抱き着いた。隣に居るルゥは若干ムッとしている。
ボリュームのある紫色の髪、年上のお姉さんを思わせる母性と優しさを兼ね備えた美しく柔らかい微笑み。
身長は神人より頭一つ分大きく、何よりもそのボディはいつも神人を悩ませる。
むっちりとした腿、プリンと突き出たお尻、はち切れんばかりに強調したバスケットボールのような二つの胸。それでいて、くびれは細く、キュッとしまっている。
抱き着かれでもしたら、神人の顔はちょうどアンファの両胸に顔を埋める高さになり、いつも窒息させられそうになる。
だが、今日はそれだけではない……
「って、アンファ! ふふ、服があ! 服着てない!」
そう、アンファは一糸まとわぬ全裸だったのだ。
そのことに対して、アンファは落ちついた微笑みを浮かべて口を開く。
「ええ、今日は布団カバーを洗濯しようと女将様に言われまして洗濯していただいたのですが、昼間に急に雨が降ったのを覚えていますか? それで、今日はカバー無しで坊や様を迎え入れようと」
「なんでさ! それなら他の服を着ればいいじゃないか! ルゥだって普段は服を着てるんだから!」
「あら、何を仰るのです、坊や様。それは、『何もしていないとき』でしょう? ルゥちゃんだって、お仕事の時にはちゃんとあるべき姿になるでしょう? それと同じです。今、坊や様が就寝される瞬間こそが、私の仕事をするとき。ですから、掛け布団の機能を損なう服などは、着るべきではないのです」
アンファの説明に、どこをどう納得していいのか分からない神人だが、アンファは当たり前のように言う。
そう、それが……
「そう、それが坊や様にお仕えする、『掛け布団』の神である、この『アンファ』の務めです」
それが掛け布団なのだと、アンファはそのまま神人をベッドに押し倒した。
「さあ、坊や様。ルゥちゃんとお風呂で頑張られたようですが、まだまだオネムでは無さそうですね。でしたら、このアンファが、坊や様が安眠できるよう、今宵も夢の世界へとご案内しますわ」
ペロリと自身の唇を舐めて、イタズラめいた表情で笑うアンファ。まるで、自分が掌の上で遊ばれているような感覚で、神人は逆らうことができない。
「ちょっと、あまり汚すんじゃないわよ? 汚れたあんたは、また私が洗うことになるのだから」
ルゥはアンファと神人のやり取りを、部屋の隅で体育座りしながら、少し不貞腐れたように一言告げた。
だが、獲物を前にして火照るアンファと、捕食される寸前のような神人には聞こえてない。
「さぁ、坊や様、いつもの日課ですよ~」
神人を押し倒したアンファは、そのまま神人の頭を自身の膝の上に載せるようにして、膝枕の態勢にする。
そして、アンファは……
「さぁ、坊や様。今宵はどんな姿でしちゃいますか? 坊や様のお気に入りのAV女優? それとも人気アイドル? そ・れ・と・も♪」
と、同時にアンファの姿が徐々に変わっていく。
ボリュームのあった母性溢れる大人の女の姿から、徐々に手足が短くなり、胸の大きさ、姿かたちが大きく変わっていく。
そして……
「えへへへ、エッチ大好きミニマムビッチな布団完成です~♡」
アンファの幼少期を思わせるような、合法アンファが目の前に居た。
しかし、小さな姿でありながらその瞳はいやらしく光り、四つん這いになりながら神人にしな垂れかかる。
「さぁ、坊や様~、いくらいけないことしてもおまわりさんに逮捕されない安心安全な布団ですよ~♡ 今日もハッスルしてぐっすりオネムですよ~」
アンファは幼い姿で妖艶に微笑ながら神人を……
「コラアアアアアアアアアアアアア!! 寝るのはまだ早いぞ、二人とも!」
「「ッ!!??」」
すると、その時だった。
「まだ、歯を磨いてないであろう、この
神人とアンファをチョップで叩く女が現れた。
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