第84話
元コスリガ国が見えてくると…
「止まれ!」
フレッド達の乗る場所は武装した男達に取り囲まれた。
「お前達…何処からきた!」
男達は目をギラつかせて各々武器を向ける。
「ここの国はもうない!悪いが荷物を置いて引き返せ!」
「なんだ、追い剥ぎか?」
フレッドは男達を馬車の上から見下ろした。
「うるさい!黙って言うことを聞け!でないと痛い目にあうぞ…」
男達はジリジリと距離を詰めてくる。
「フレッド様!」
するとアルゴラから連れて来た兵士達が襲ってきた男達を外側から取り囲んだ。
「くそ、罠か…」
男達は逃げられないかと兵士達の隙間を狙おうとするが馬に乗り、自分達より多い人数にドンドン追い詰められる。
「武器を捨てろ!」
兵士達に剣を向けられると諦めたように武器を捨てた。
「好きにしろ…」
男達はドサッと地面に座り込む。
「こいつら…」
兵士の一人が男達の捨てた武器を拾って驚いた。
彼らが持っていた武器は農民が使うようなクワや鎌だった。
剣などもあったが使い古された 粗悪品がほとんどだったのだ。
「王子、彼らはただの追い剥ぎでは無いようです」
兵士の一人が武器を王子に見せる。
フレッドは彼らをじっくりと見ると、防具も所々で違和感のある装備だった。
「君達はもしかしてコスリガ国の元農民か?」
「コスリガなんて言葉…聞きたくもない!俺達はあの国に裏切られたんだからな」
彼らが向ける瞳には憎悪があった。
「私達はアルゴラ国からきた。コスリガの元王子のジョージとその婚約者レミリアを連れてきた。誰か話がわかるものはいるか?」
「ジョージ王子だと…」
「しかもレミリアも?」
男達は驚き目を見開くと、立ち上がって再び襲いかかろうとする。
「ジョージを出せ!レミリアを渡せ!あいつら殺してやる!」
「おい、暴れるな!」
兵士達が必死に男達を押さえるが殴られても蹴られても男達はひるまなかった。
「落ち着け、お前達は反乱軍では無いのか。私達は敵ではない、彼らも引き渡すから代表者に会わせてくれ」
「本当か?本当にジョージが居るのか?」
男達はあばれるので縄で縛るが這いずりながらフレッドに問いかける。
フレッドは部下の兵士に頷きかけると、兵士はジョージを収容している馬車から出した。
「自分の目で見ろ」
「やめろ!離せ!俺を誰だと思ってる!」
聞き覚えのある声に男達は凄まじい形相でジョージを睨みつけた。
「あいつ…生きていたのか…」
「殺す!殺してやる!」
中には涙を流してジョージを睨みつけている。
「お前、何をしたらあんなに恨まれるんだ…」
「知るか、こんな汚い奴らなど知らん!」
「ふざけるな!俺達はお前らのせいで家族を仲間を全て殺された…お前達だけは許さない…」
「これは、思っていたよりも酷いことになっていそうだな…」
フレッドは知らん顔を決め込むジョージと鬼の形相の男達を見てため息をついた。
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