第85話

フレッド達はジョージをまた閉じ込めると男達に改めて話しかける。


「これで信じてもらえたかな?俺達はジョージを反乱軍に引き渡そうと連れてきたんだ」


「わかった!ならすぐそいつらを置いて引き返せ、後は俺達で処理する」


「お前達では話にならない…」


「誰に聞いても同じだ、ここに残ってるのは国に裏切られた奴らばかりだ」


「さっきも言っていたが、あいつは何をしたんだ」


「あいつら王族達は…俺達から絞れるだけ税を絞ってもう払える金が無くなると家族を…女、子供を他所の国に奴隷として売りに出したんだ…」


「そんな事を…」


「その金が尽きるとあっさりと国を捨てやがった…他所の国を騙して金を借りて攻められた時にはもう国を出ていた。何も知らない俺達はわけもわからずに逃げるか戦うしか無かった…」


男達は悔しそうに地面に爪を立てて砂を握りしめる。


「この国の物は全て持っていかれた、他国に逃げた奴らもいたが…もう家族もいない者はここで襲ってくる奴から物を盗んでどうにか暮らしてる。いつかあいつらを見つけて殺す為に今まで生きてきたんだ!」


男達はジョージやレミリアが閉じ込められている馬車をみた。


「何処までも腐った奴だと思っていたが…想像以上に最悪だったな…よくそれで国が続いていたものだ」


「ジョージとレミリアだ、あいつらが婚約してからが最悪だった。あいつらを一緒にしちゃならなかったんだ」


「ロレッタ様もあいつらに殺されたようなものだ…あの方がいた時はまだジョージがおさえられていたのに…」


「ロレッタ?」


「あの男の元婚約者でレミリアの実の姉だった方だ」


「ロレッタ…だと?」


フレッドは馬車を振り返る。


「ロレッタはあいつらに殺されたと言うのはどういう事だ?」


「白々しい!アルゴラ国に連れ去られて処刑されたんだろうが!」


男達は恨みのこもった瞳でフレッドを睨む。


「ちょっと待て、コスリガではロレッタはアルゴラ国に殺された事になっているのか?」


フレッドは深呼吸して胸を押さえながら男達に確認する。


自分を落ち着けていないと抑えが効かなそうだった。


「そうだ、ロレッタ様はレミリアの代わりにアルゴラ国に行ったんだとみんな思っていた…」


フレッドは男達にちょっと待っていろと離れるとシドと話す。


「これはどういう事だ…なぜロレッタが死んだ事になっている?」


「すみません、確認不足でした。まさかそんなことになっていたとは」


シドも初耳のようで困惑している。


男達に詳しく話を聞いてみると、緘口令が敷かれたようでロレッタの事を口にすると重い罰が課せられたらしい…


酷い時は聞いた者も一緒に処刑されたようだ。


「あの、レミリアは悪女だ…あの女は姉であるロレッタ様を自分の代わりに売ったんだ」


「彼女は死んでいない」


「「「はっ」」」


フレッドの言葉に男達は不信な顔をあげてフレッドを見つめる。


「ロレッタは確かにアルゴラ国に来たが丁重に迎えて今も元気にしている」


「嘘をつけ、俺達を騙してどうする。あいつらが言っていた…ロレッタ様は殺されたと…」


「嘘ではない、あいつらの言葉を信じるのか?」


「た、確かに…」


「ではロレッタ様はあんたの…いや、あなたの国で元気になさってると?」


男達は恐る恐る確認するように聞いてきた。


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