第75話
「そ、それはどういう事でしょうか…」
レミリアは恐る恐る国王に問いかけた。
「そのままの意味だ。本来ならこの場で打首にしてもいいが、自分と姉を交換した功績に強制送還で許してやろう」
「そ、そんな!話が…」
「話が違う?黙って聞いてればお前はさっきから誰と話している。勝手に自分の都合のいいように決めて、それが通るとでも思っているのか?」
「だ、だって…だっていつだって私の思う通りになった…今回だって、どうにかなるはず…」
「人生そんな都合よくいくわけないだろ。これまでのツケが溜まっていたようだな」
国王はフンっと鼻で笑った。
「私…これからどうなるの…ねぇ!お姉様助けて」
レミリアは涙を浮かべてロレッタに手を伸ばす。
ロレッタは思わず手を上げそうになるのをグッとこらえた。
「駄目よ…レミリア、ちゃんと罪を償って…あなたのわがままで罪のない多くの人が犠牲になったのよ。あなた一人助けるわけにはいかない。でも罪を償ったら…」
ロレッタは希望を持ってレミリアを見つめて声をかけるがレミリアの表情はみるみると険しくなる。
「何よ、結局見捨てるのね!だからあんたなんて嫌いなのよ!いつもいつも綺麗事ばかり、私は可愛いの!みんなに愛されてるの!特別なのよ!だから何をしても構わないの!」
フーフーと息を荒くまくし立てた。
ロレッタは悲しげにレミリアを見ていた。
「もういい」
フレッドはロレッタの体を引き寄せるとそっと髪を撫でた、レミリアから距離を取って兵士に任せると後ろに下がらせた。
「フレッド様!」
レミリアは近づいてくるフレッドに最後の望みをかけて声をかけるが、フレッドからの冷たい視線に足がすくむ。
フレッドはレミリアに近づくとロレッタには聞こえないように耳元で囁いた。
「お前に名前を呼ばれたくもない、ロレッタはああ言ったがお前の罪が償われる事はない」
「えっ…」
「さっさとこの口を閉じて、あの男と一緒に行け」
何か言おうとするレミリアを兵士が拘束した。
ジョージはもう諦めたのか大人しく兵士に連れていかれる。
その後ろからレミリアも引きづられるように部屋から出された。
「やだ、やだ。ジョージ様どうにかして!私のこと好きなんでしょ!」
ジョージは後ろを着いてくるレミリアに冷めた表情で振り返る。
「よくそんな事が言えるな…もう終わりだ。俺達は終わったんだ」
「嘘!終わったのはあんただけでしょ!私を巻き込まないで」
「こんな女だったとは…ロレッタ…いや、もう何もかも遅い…」
ジョージは最後にとロレッタの方を見つめるが、その視線はフレッドにより遮られた。
ロレッタを大事そうに抱えてフレッドはジョージを睨みつける。
レミリアは最後まで自分は悪くないと叫びながら連れていかれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます