第76話

「やっとうるさいのがいなくなった…だがまだこちらの問題が残っているな」


国王はフレッドとロレッタをジロっと見つめた。


「陛下…いえ、父上。今はロレッタは心を痛めております。ですから話は私が聞きます、彼女に聞くのは日を改めていただけないでしょうか?」


フレッドは頭を下げて国王に頼み込んだ。


「いえ、私なら大丈夫です。レミリアにあんな偉そうな事を言って自分だけ逃げる訳にはいきませんから」


ロレッタは大丈夫だと頭を下げるフレッドの腕にそっと自分の手を重ねた。


フレッドは冷たくなったロレッタの手を握りしめると、諦めた様に息を吐きその手を引いて陛下の元に連れていった。


国王の前にいき二人で膝をつく。


すると国王が二人を見下ろして話し出した。


「それで?この騒動の責任は誰がとる?」


フレッドとロレッタを交互に見やる。


「「それは私が!」」


フレッドとロレッタは同時に顔をあげた。


「これは最初にちゃんと確認をしなかった私の責任だ…ロレッタが婚約者で無いとわかってからも、君を手放せなかったのは私なんだ」


フレッドはすまないとロレッタを見つめて眉を下げた。


「いえ!元はコスリガ国の者がついた嘘…その責任はコスリガ国の者にあります。私もそれをわかっていたのに言い出せませんでしたから…私も彼らと同罪です」


「二人で責任を取り合うか…ならいっそ二人に責任を取ってもらおうかな」


国王は自分がと言い合うフレッド達に笑いかけた。


「父上!お願いです…ロレッタはずっとあの国で辛い思いをしてきたのです。どうか開放された今は幸せになってもらいたい」


「それなら責任を全てお前が取ると?」


「はい」


フレッドは力強く頷いた、その瞳には覚悟が見えた。


「ではロレッタ、それでいいか?」


国王がロレッタにうかがうとにっこりと笑い返した。


その顔に国王はピクっと眉をあげる。


「申し訳ございません、陛下。少しよろしいでしょうか?少しフレッド様に確認したい事がございます」


「なんだ?言ってみろ」


国王は許可を出すと、フレッドは顔をしかめてロレッタに向き合った。


「なんだい?ロレッタの頼みでも君に責任は取らせられないよ」


フレッドは寂しそうにロレッタに囁く。


「フレッド様にお聞きしたいです。私に幸せになってもらいたいとおっしゃっておりましたが…それは本心でしょうか?」


「当たり前だ、君の悲しむ顔はもう見たくない。ここならエミリーもいる、手出しはさせないから幸せに生きて欲しい」


「わかりました、フレッド様の気持ち感謝致します」


ロレッタは頷いてお礼をいうように頭を下げた。

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