第73話

フレッドは恥ずかしがるロレッタの腰を引き寄せてその細い首をペロッと舐める。


「んっ…」


ロレッタはフレッドのキスに甘い声が漏れた。


「お前は馬鹿だ、こんなにも可愛いらしい女性に何もしなかったなんて…」


色っぼく鳴くロレッタの耳をフレッドはいじくりジョージの目の前で濃厚なキスをしてみせる。


「んんっ…フレッド…さま…」


ロレッタは恥ずかしさのあまりフレッドを押しのけようとするが腕に力が入らなかった。


その仕草がさらに色気を醸し出す。


フレッドにされるがまま、ジョージの目の前でくたりと腰が抜ける。


ジョージはロレッタの見た事もない姿にゴクリと唾を飲んだ。


「ふふ、ロレッタは可愛いな…甘くて美味い、一度この味を知ったら他の者に目など向けなくなる」


フレッドは唇を離すとペロッと口の周りを舐めると、愛おしそうに力の抜けたロレッタの頬を撫でた。


「まぁお前ではロレッタのこの魅力を引き出せなかったろうな」


ジョージは悔しそうにじっとロレッタを見つめた。


「そんな、女…」


興味無さそうにジョージは視線を逸らした。


「そんな強がりを言いながら下半身は正直だな」


フレッドは膨らむ股間をみて冷笑する。


「ロレッタ、正直に言え。その男に未練はあるか?」


ロレッタは力の抜けた腕に力を込めてグッと自分の足で立つ。


そして悔しそうなジョージを見つめ返した。


「いいえ、私の心はとうにジョージ様になどありません。私は身も心もフレッド様のものです」


ロレッタは睨みつけるジョージの目の前で自分からフレッドにキスをした。


フレッドは笑ってロレッタをジョージから遠ざける。


そしてジョージに近づいていき耳元で囁いた。


「もうお前の事などなんとも思ってないんだよ。ロレッタは私のものだ、お前はロレッタの魅力に気づかない馬鹿な男…お似合いの女といさせてやる」


フレッドはレミリアをそばに寄越した。


「レミリア、お前の大事な人が困っているぞ」


「レミリア…」


ジョージはレミリアを見上げるが、返ってきた顔は酷いものだった。


「こんな情けない人、私の大事な人ではありません!私は…フレッド様の…」


レミリアはフレッドの手をそっと握りしめる。


「お姉様…ごめんなさい。私が間違ってました。私、ちゃんとお姉様と一緒にフレッド様の事を大事に出来ます」


レミリアはロレッタを見ながら瞳を潤ませた。


「姉妹仲良く私がいいと?」


「はい!」


レミリアはとびっきりの笑顔で頷く。


「ねぇ!お姉様いいですよね!?」


レミリアがロレッタに抱きつこうとすると、フレッドがそれを止めた。


ロレッタは真剣な顔でレミリアに問いかける。


「あなたはジョージ様のことを愛していたのではないの?」


「やだぁ、ジョージなんて王子の肩書きが無かったらなんの取り柄もないじゃない」


レミリアはキャッキャッと笑う。


「レミリア、そんな風に思っていたのか…」


ジョージはガックリと肩を落とす。


「ジョージ様、今までありがとうございました。私はここで幸せになります」


レミリアはジョージに笑顔でお別れを告げた。

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