第67話

シドは王の間へと着くと兵士が扉を開く。


中へ入るとチラッと周りをうかがうがロレッタ様の姿もフレッド様の姿も見えなかった。


どうやらフレッド様が駆けつけたようだ・・・・・・ほっと胸を撫で下ろす。


とりあえず一つ気がかりが消えたと思っていると・・・・・・


「そんな顔をしてどうした?早く後ろの二人を連れてきてくれ」


陛下が笑ってこちらに声をかけた。


「申し訳ございません。元コスリガ国の王子ジョージ様と婚約者のレミリア様です」


シドは二人を前へと促すと二人は大人しく前にでてひざまづいた。


「これはこれはいや酷い姿ですな」


陛下が眉を下げて二人を見つめる。


「すみません、あの者の態度も対応も酷いものでこの有様です。国王ともあろうお方があんな奴を下に置いておくのはどうかと思いますよ」


ジョージは手を拘束されたままジロっとシドを睨みつける。


「へーそうなのかシド?」


国王がこちらを向くとニヤニヤと笑っていた。


「彼がそういうならそうなのでしょうね」


「わかった、彼の処分は後でにしよう。それで?国を追われた者がこの国になんの用かな?」


処分と聞いてジョージはニヤッと笑った。


「この国とは友好関係にあります。保護を求めるのは当然かと・・・・・・それよりも何故あんなに足止めをされたのか想像もつきません。本当にひどい仕打ちでした」


ジョージは眉をひそめた。


「友好関係?」


陛下は聞き返す。


「ええ、コスリガとアルゴラ国は書類を交わした友好国困っていたら助けるのは当然かと・・・・・・」


ジョージはそう言うと胸元に手を動かそうとする。


「動くな!」


ジョージが胸元に手を動かした事で兵士達が取り押さえる!


「離せ・・・・・・暴れる気などない」


ジョージが兵士達を睨むと国王が兵士達を止めた。


「何を出そうとした?」


「これです」


ジョージはゆっくりと紙を取り出す。


兵士がそれを受けるとシドに渡した、シドはそれを国王の元に持っていった。


国王は紙を受け取りゆっくりと中身を確認する。


「まだ持っていたとは、それも大切そうに・・・・・・」


国王が笑うとシドは何かと聞いてみた。


「そちらは?」


「コスリガ国とアルゴラ国の同盟書だな、この国にもこれと対となる書状があるはずだ」


国王に見せられて頷く、それはシドが交わした書状だった。


「わかっただろ、これがあれば俺達をこの国に招いて貰えますよね?」


ジョージはニコニコと勝ち誇った方に笑った。


「まずはこの忌々しい手枷を取って貰えるかな?」


シドの前に自分の両手を差し出した。

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