第66話
まぁいつもの口からでまかせかな。
シドは相手にするだけ無駄だと思い兵士達に耳を塞いで事に当たるように指示を出す。
「おいお前!こんな事していいと思っているのか!」
ジョージがシドを殺すかのような形相で睨みつけた。
「これから国王陛下に会っていただきます。あなたはもう王子でもありません、陛下の前に立つのに拘束するのは当たり前でしょう?あなたも元王族ならわかると思いましたが・・・・・・」
馬鹿にする様に言うと悔しそうに黙った。
「国王陛下に会えるのですか?」
レミリアが食いつくように聞いてくる。
「ええ、一応」
陛下の目的がよくわからないが、もしこいつらを国に入れると言ったら全力で阻止しよう。
シドがそんな事を考えているとレミリアは何故かニコニコと笑っていた。
きっと私がフレッド様にお願いしたからだわ・・・・・・ふふっやっぱりお姉様より私の方が・・・・・・
レミリアはきっとそうだと思い込んでいた。
「ジョージ様!シド様の言う通りです。王族として恥ずかしくないようにここはこの国の方の言うことを聞くべきですわ!」
「レミリア?急にどうしたんだ?」
「急ではありません。前々から思ってました、もう少し大人になって下さい」
レミリアはぷいっと横を向く。
「す、すまない・・・・・・少し大人げなかった。いきなりこんな環境になって取り乱していたようだ。大人しくするから連れてってくれ」
ジョージはレミリアに言われて大人しく手を差し出した。
「それでこそジョージ様です」
レミリアは満足そうに笑うと自分も手を差し出す。
「あまり痛くしないで下さいね・・・・・・」
手を拘束する兵士に上目遣いで目をうるませて懇願する。
「絶対に逃げないようにしてください」
シドはコソッと兵士に耳打ちをすると、兵士は無言で頷き返した。
少し揉めたがどうにか彼らも連れて行けるようになり、シドは王の間へと向かう。
「クソっ・・・・・・覚えておけよ。お前らの顔は絶対に忘れなからな」
後ろを歩くジョージからは何やらブツブツと声が聞こえる。
何を呟いているのかはわからないがどうせ文句を言ってるのだろう。
先程は女の手前いい格好をとったみたいだが元の本質はわがままで自分中心の男のようだ。
あれだけ言われて大人しくしているとも思えなかった。
しかもその後ろからは何故かご機嫌で鼻歌でも歌いそうなレミリアがついてきている。
この二人を見ると不安でしかない。
だが陛下の命令だから仕方ない、フレッド様がどうにか駆けつけてロレッタ様と会っていることを願いながらシドは二人を連れていった。
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