第68話

「あはは!シドどうする、王子様がああいってるぞ」


国王が豪快に笑うとその声に裏にいたフレッドが顔を出した。


「なっ!何故あいつがここに?」


裏で大人しく待つように言われていたフレッドは急いで父である国王の元に向かった。


「陛下!何故あのもの達を王宮に入れたのですか!」


「フレッド、これを見てみろ。コスリガ国の王子様は大事にこれを持っていたみたいだぞ」


陛下は同盟書をフレッドに見せた。


フレッドはそれを受け取ると中身を確認する。


「お前は確か・・・・・・」


ジョージはフレッドの顔をみて眉間にシワを寄せた。


チラッとレミリアを見ると、目を輝かせてフレッドを見つめている。


「フレッド様・・・・・・」


その顔に怒りが湧いてくる。

人の物を取る奴がジョージは一番気に食わなかった。


「国王陛下!何故その者がこの大事な話し合いの場にいるのですか!今すぐ追い出して下さい!」


ジョージの言葉にレミリアは悲しい顔をして見つめた。


「ジョージ様、そんな酷い事を言わないで下さい。フレッド様はきっと私達の味方をしてくださいますわ」


レミリアの言葉にジョージはさらにイライラとする。

レミリアがフレッドの方を見るだけで気に食わなかった。


「しかし・・・・・・あいつはなんか隠している気がして信用ならない」


ジョージがキッとフレッドを睨みつける。


「フレッド、あいつに何かしたのか?」


陛下はジョージとフレッドを交互に見比べた。


「さぁ」


フレッドはとぼけて知らないと首を振る。


「貴様ー!俺はこの国の友好国の王子だぞ!その態度はなんだ!」


ジョージが唾を吐き出しながらほえると兵士が押さえつける。


「いい加減にしろ!さっきから誰に口を聞いている!フレッド様はこの国の王子だぞ!」


兵士はジョージの態度に腹を立てて肩を掴むと膝まつかせた。


「お、王子?」


ジョージは信じられないとフレッドを見上げる。


「#初めまして__・__#この国の第二王子のフレッドだ」


「だ、第二王子?」


「まぁ継承権は放棄してるから、もう王子でもなくなるが」


「そんな!勿体ない!」


すると関係ないレミリアが悲痛な声をあげた。


「フレッド様ならこの国の一番になれるお方だと思います。優しくて人の気持ちのわかる方です」


「・・・・・・」


レミリアに見つめられてフレッドは背筋がゾクッと震えた。


「陛下、この状況をどうするおつもりですか!」


シドはそっと陛下に声をかけるがもう少し待てとシドを黙らせた。


「それよりも隣にいる娘を呼んできてくれ、きっといつ呼ばれるかと緊張して待っているだろう」


そう言うとクイッと顎で隣の扉を指された。


シドはどうにでもなれとやけになりながらロレッタを呼びに行った。

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