第62話
「フレッド様は何事にも動じないと思っていましたが…そんな事を怖いと思うのですね」
「そんな事では無い、大切な君の事だ。好きな人に傷ついて欲しくない、幸せにしたいと言っただろ」
「ありがとうございます、フレッド様のその気持ちと思いを聞けて何だか勇気を頂けました」
ロレッタは心から笑えた。
「私…二人に会おうと思います!」
ロレッタはしっかりとフレッドを見つめて答えた。
フレッドはその手を掴むとロレッタはもう震えてはいなかった。
その様子に肩の力を抜いた。
「その言葉を聞きたかった…もうロレッタは大丈夫だな」
フレッドは優しく微笑むとロレッタの肩を掴んで顔を覗き込む。
「それって…どういう事でしょうか?」
ロレッタはフレッドの気持ちがわからずに首を傾げる。
「君は彼らに立ち向かおうと思った、それはもう彼らが怖くないと言うことだろ」
「それは…会ってみないことにはなんとも、もしかしたら顔を見てまた逃げたくなるかも知れません」
「いや、前は会うことも怖がっていたんだ。それが今はどうだ?」
ロレッタは自分の気持ちの変化に胸に手を当てる。
「不思議です…一度会おうと思ったら何を怖がっていたんだろうと…私はずっと逃げて来たのですね」
「それは違う、逃げてなどいない。あれは誰でも関わりたくないと思う人種だ」
フレッドもあの二人にはもう関わりたくないと思っていたが、このままではロレッタが前に進めないのではと考えていた。
「でも今気持ちの変化がおきた。もう君は大丈夫だ」
「では、レミリア達は?」
「もう会う必要もないだろう。元々会わせる気はなかったんだよ」
「そうだったんですか」
「あんなのに会わせてまた君が傷つくのは見たくないからね。でもよかったこれで心置き無くあいつらを追い出せる」
フレッドの嬉しそうな顔にロレッタは複雑な気持ちだった。
「フレッド様のお気持ち、大変感謝致します。でもやはり会いたいです。私を売った人達ですが・・・・・・家族でしたから」
ロレッタは眉を下げて微笑んだ。
「いや、あいつらはきっとある事無いこと言って君に暴言を吐くだろう。そんな事をされたら私は許すことが出来そうにないよ」
「うっ・・・・・・」
フレッド王子の様子から本当に言っているんだと感じた。
その顔は穏やかに笑って見えるがこめかみがぴくぴくと動いて怒りが滲み出ていた。
「もうあいつらに怯えないなら会う必要はないよ」
「え、えっと・・・・・・わかりました。フレッド様にそんな顔させたくありませんから」
ロレッタは笑って頷く。
「でも、二人がどうなったかだけは教えてください。二人の関係者として最後を知っておいてあげたい」
「わかった・・・・・・」
そのくらいはいいだろうと、フレッドは頷き約束した。
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