第63話

フレッドは早速とロレッタに部屋から出ないようにと念を押すと二人の処分に向かう事にした。


「いいかい、部屋から出ないように・・・・・・あの妹は抜け目ないからね」


「わ、わかりました」


グッと拳を握るロレッタの様子にフレッドは笑って頭を撫でる。


「そんなに力を入れていたら身が持たない、お茶でも飲んでリラックスしていろ」


「は、はい」


ロレッタはフレッド様の笑顔にフーっと息を吐いた。


「エミリーに声をかけてお茶を用意させよう。じゃあいい子に待っていてくれ」


フレッドはそっと扉を閉めると、警備兵に声をかける。


「エミリーにロレッタにお茶を用意するように伝えてくれ、エミリー以外部屋に入れるなよ」


「「ハッ!」」


フレッドはもう一度扉を見つめると、執務室へと向かった。




「シド様、陛下がお呼びです」


執務室で仕事をしていると国王の側近から声がかかった。


「陛下が?なんの用でしょう・・・・・・」


「いいから急いで来るように、ああフレッド様には伝えなくて言いそうだ」


「フレッド様には秘密で?」


シドは嫌な予感がするが国王のお呼びとあれば従わない訳にはいかない。


「わかりました、支度をしてすぐに向かいます」


「いや、そのまますぐに来るようにと仰ってる。そのまま来るんだ」


チッ・・・・・・


シドは心の中で舌打ちをする。


フレッド様にメモでも残せればと思っていたがどうも無理のようだ。


「わかりました・・・・・・」


シドは途中の仕事をそのままに国王の元へと向かった。






王の間に通されて、待っているとしばらくして国王が現れた。


シドは膝まづいて言葉を待っていると


「おもてをあげろ」


「はい」


シドが顔をあげるとニヤニヤと笑う国王と目が合う。


「シド、なんか最近入国する奴らがうるさいと報告を受けているんだが・・・・・・その後変わった様子はあったのか?」


国王の様子に既に知っている様子だった。


「はぁ…陛下、そのご様子だと知っていますよね…」


「いや、そんなには詳しく聞いてないからな。お前の口から聞きたい」


国王は口角をあげてシドを見つめた。


シドは軽くため息をつく。


「ご存知の通り、コスリガ国が崩壊しました。その元凶であるジョージ王子と、婚約者のレミリア嬢が保護を求めていてフレッド王子が対応してそのまま強制送還が望ましいと判断致しました」


「そうか、まあそれが妥当そうだが…聞けばその婚約者は本来ならこの国に来るはずだった娘なんだろ?」


やはり気がついていたのか…


シドはそう思いながらも顔色を変えずに頷いた。


「そのようですが、フレッド様はロレッタ様が代わりに来たことに満足しているようです」


「だがな、本来なら妹を貰って国の崩壊を止めようという算段だったのではなかったか?」


「そうですが…あの王子をみて確認しました。遅かれ早かれ国は滅んでいただろうと、それにあの妹は毒です。この国に入れない方がいいと思うのは私も同意見です」


「そうか…」


国王は顎に手を当ててシドを見つめると…


「興味がわいた。その王子と妹、それにロレッタ嬢を連れてこい」


「えっ!?」


国王からの笑みからは何を考えているのかシドはわからなかった。

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