第33話
ダーンッ!!
男がロレッタの胸に手を当てようとした寸前…上の扉が勢いよく開く音と共にけたたましい足音が階段を駆け下りてくる。
ハッとしてロレッタから離れて逃げ場を探すが密封された空間にそんな場所など存在しなかった。
せめてロレッタから離れておこうと立ち上がろうとすると…
凄まじい形相のフレッド王子が階段を駆け下りてきて、こちらを確認する。
「貴様…」
男はフレッド王子に睨まれると…
「私は何も!ロレッタ様から言い寄られていただけです!確認してみて下さい!」
慌ててロレッタを指さした。
「ロレッタ!!」
フレッド王子は男を突き飛ばしてロレッタに駆け寄るとすぐに抱き上げた。
「んっ…だ、め…です」
するとベッドの上で聞いたような甘い声でロレッタが鳴く。
「ロレッタ…どうした?」
フレッド王子は様子のおかしなロレッタを心配して頬を撫でる。
その体は熱く、熱を放っていた。
そして触れる度にロレッタが悶えている。
「ほ、ほら見て下さい!誘ってきたのは彼女の方です」
ロレッタからは甘い香りが漂いクラクラとした。
「王子!一人で先に下りないで下さい!」
すると後からシドや兵士達も慌てて駆けつける。
そしてぐったりとするロレッタを見つけた。
「ロレッタ様、どうされたのですか?」
シドが異様な部屋の様子に顔をしかめる。
「その男を捉えておけ!シド、ロレッタの様子がおかしい…」
兵士に男を捉えさせてシドにロレッタを見せる。
「うっ…なんか甘い香りが…これは媚薬?」
「媚薬だと」
ロレッタの悶える姿を見て納得する。
「それなら…」
「薬が抜けるまで耐えて貰うか…それか…」
シドが言いにくそうに顔を逸らした。
「それか、満足させるかだろ…」
「はい。王子なら知ってますよね…どうしますか?どのくらいの量を盛られたのかわかりませんがもし耐えるなら、あと数時間は我慢してもらう事になりますが…」
「ロレッタ…ロレッタ…」
フレッドは優しくロレッタに語りかける。
「君はどうしたい?このまま耐えられそうか?」
声をかけるとロレッタがフレッドを見つめる。
「フレッド…おうじ…」
ロレッタはフレッドに手を伸ばしてその体にしがみついた。
「フレッド…さまが…いい…たす、けて」
自分の体をギュッと押し付けてきた。
「すまない…」
ロレッタにこんな思いをさせた事に今になり後悔する。
「私のせいだ…私が何もかも中途半端にしていたから…」
「その通りですね!王子、責任をもってロレッタ様を介抱してください!」
「当たり前だ…こんな状態のロレッタを誰にも触らせない…」
フレッドは着ていた服を脱ぐとロレッタに被せて視界を塞ぐ。
「すまない…しばらく我慢してくれ」
宝物を運ぶようにフレッドはそっと階段を登って行った。
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