第34話

ロレッタといた男とルフレシアの方はとりあえずシドに任せる事にした。


「ロレッタが落ち着くまではあいつらには手を出さないでくれ」


「いいのですか?」


「ああ、聞きたい事がある」


フレッド王子の意外な言葉にシドは聞き返してしまった。


兵士が男を連れて行くとフレッドはシドと自室へと向かった。


「ロレッタ様!!」


すると部屋の前ではエミリーがまだかまだかとウロウロしながらロレッタの帰りを待っていた。


「エミリー!今は触れるな…ロレッタは媚薬を飲まさせたようだ。これから部屋で休ませる…回復したらすぐに呼ぶから」


「は、はい…ロレッタ様…申し訳ありません」


エミリーは心配そうにロレッタが見えなくなるまで見つめていた。


フレッドはロレッタをベッドに横たえると…扉へと向かう。


「いいか、誰も部屋に近づけるな…俺が出てくるまで」


「「は、はい」」


フレッド王子が固くその扉を閉めると兵士達は背を向けて扉から少し離れた。




フレッドは扉が閉まっていることを再度確認していると…


「んっ…」


ロレッタの喘ぐ声に慌ててベッドへと駆け寄った!


「大丈夫か?」


ロレッタははぁはぁと苦しそうに息をしている。


フレッドは水を用意するとロレッタの上半身を支えて起こした。


「水だ、少しは楽になるから飲むんだ」


しかしロレッタはダラダラと口に当てた水をこぼしてしまい中々飲み込めない。


フレッドは自分で水を含むとロレッタの口から水を流し込む。


ゴクリ…


ロレッタが水を飲むのを確認すると…


「はぁ…」


ロレッタが軽く息を吐いた。


「ロレッタ…大丈夫か?このまま耐えられそうか?」


「フ、フレッドさま…ここは…」


「私の自室だ…人払いはしてある。この度の事は私の失態だ…ロレッタの望む通りにする。君はどうしたい?」


フレッドの真剣な顔にロレッタは頭がボーッとなりながら王子の顔を見つめた…


そして両手を伸ばして悲しそうな顔のフレッド王子の頬を手を当てる。


「だいじょうぶ…ですか?」


「君は…」


ロレッタは自分がこんな状態にも関わらず他人の心配をしてきた。


フレッドはロレッタの熱い手をギュッと握りしめてその手を唇に当てた。


「すまない…本当にすまない…君の望む通りにしよう。どうして欲しい?なんでも言ってごらん…」


「のぞみ…?わたしの?」


「ああ…」


「わたしの…のぞみは…フレッドさまのおそばに…」


ロレッタはギュッとフレッドに抱きついた。


「こんな私でもまだいいと言ってくれるのか?」


「はい…わたしにはじめて…やさしくしてくれた…かたですから…」


「ありがとう…君を…君だけを一生大事にすると誓うよ」


フレッドは優しくロレッタのおでこに誓いのキスをした。


「んっ…」


唇が触れるとロレッタの体がビクッと反応する…まだ媚薬の効果は続いているようだった。


「ロレッタ…優しくする…おいで」


フレッド王子が手を広げるとロレッタは幸せそうに笑い、吸い込まれるようにゆっくりと抱きついた。

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