第31話
注)少し時間が遡ります。
フレッドはエミリーの慌てた様子に飛び起きた!
そしてロレッタが寝ていたはずの隣りを見る。
そこにはポッカリと空いていた。
「ロレッタが居ないとはどういう事だ!?」
「そ、それが…昨日王子と共有のご友人が出来たそうでその方と会う約束をしたと…」
「友人だと?誰だ!」
「申し訳ありません…名前はお伺い出来ませんでした…」
エミリーが深々と頭を下げた。
「それで何故一緒にいながら見失うことがある?」
「ロレッタ様はその方とお一人でお会いしたいと…昨日のガーデンテラスを気に入りまして…あそこなら出入口はお一つですからそこを私と警備の者で立っておりました…」
「あそこか…」
フレッドはガーデンテラスと聞いて顔を顰めた。
「なんですか…お顔は…」
エミリーはフレッド王子の顔を見てじっと見つめる。
あの顔は何か不味い事がある時の顔だった。
「あそこは…隠し通路が裏にあるんだ」
「隠し通路!?どこですか!?」
「裏の生垣で出来た迷路の中にある…しかしあんなところに行くのは俺ぐらいかと…」
「王子が何故隠し通路を使うのですか…」
エミリーの声がだんだん厳しくなる。
「そ、その…まぁ息抜きしたい時に…だが!ここ最近は使っても居ない!もう封鎖してしまおうかと考えていたところだったんだ」
「言い訳はよろしいですからそこへ案内してくださいませ!」
「わかってる!」
フレッドは上着を一枚羽織ると乱れた服で外に飛び出した!
「お、王子!?」
「どうなさったんですか…」
廊下で待機していた兵士が王子の姿に驚き凝視する。
「緊急事態だ!シドを呼べ!」
「は、はい!」
フレッドは走りながらガーデンテラスを目指していると…
「王子!!」
シドがすぐに駆けつけてきた!
「そのお姿は何事ですか!?」
「ロレッタが居ない」
「ロレッタ様が!?」
シドはハッと顔を引き締める。
「ガーデンテラスでエミリーから離れて消えた、その前に誰かに呼び出されたようだ」
「呼び出す?ロレッタ様には近づかないように王宮に入れる貴族には通達が行ってるはずですが…」
「どこかの馬鹿がそれを破ったようだ…しかも俺の名を出して近づいた…」
「だからロレッタ様にきちんと話しておくべきだと申し上げたのです!それを心配かけたくないだの不安にさせたくないだの駄々を捏ねて秘密にするからロレッタ様が油断なさるのです!」
「わかってる…文句なら後で聞く。今はロレッタを見つけるのを優先しろ!」
フレッド達はガーデンテラスに着くと…
「警備兵!!」
シドが入り口に待機していた兵士を呼ぶ!
「「はい!」」
「ここにはロレッタ意外誰も入らなかったのか!?」
「はい、ロレッタ様のお部屋からここまで護衛してガーデンテラスを通るのを確認したあとここの入り口でエミリーと待機しておりましたが誰一人通っておりません」
「クソっ!ならやはり裏の道を使われたわけだ…」
「フレッド様…今なんと?」
シドはフレッドの言葉に顔を見上げた。
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