第28話 領都マーキュリアスに到着すると
アイゼンとアンドロイドのルナは第1級冒険者オーガストと別れたあと、魔術師ギルドに向かった。
そこでアイゼンは土属性初級魔法『
魔術師ギルドを後にしたアイゼンとルナは、料理屋に向かった。
アイゼンとルナがテーブルに着くとルナが料理を注文した。
すぐに
「ルナ。結局、オーガストさんとの戦いで
「ええ。
「そうなんだ。俺、オーガストさんの剣が全く見えなかったよ。あれが最強なんだね。まだ本気を見せていないと言ってたけど」
「そうね。真実かどうかは分からないけど、魔道具を
「そうだね。剣の
「魔力をうまく使えた人間が
「まあね。でも、
「アイゼンは強くなってるよ」
「ありがとう」
アイゼンは白身魚のフライを口に運んだ。
「そういえばさ。オーガストさんの魔剣の能力って、爆音が
「ええ。
「へえ。
「そうね。魔法は本当に
アイゼンとルナが食事をしているとオーガストが料理屋に入ってきた。
オーガストは店内を
すると、アイゼンとルナが
オーガストはむき身の魔剣を
「
「そうは見えなかったけど。ところでなんで剣の刃がむき出しなの?」
「
「持ち手にも
「ああ。魔剣を所有するには資格が必要なんだ。俺様は
「そう」
「反応が
オーガストは近づいて来た店員に料理を注文した。
「あいよ」
しばらくして大量の料理が運ばれてきた。
「美味そうだぜ」
「大食いなのね」
「まあな。それにお前のおごりだしな」
「・・・。まあいいでしょう」
「やったぜ」
オーガストは
ひとつ目の皿を空にしたところでルナがオーガストに話しかけた。
「一つ聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ? 彼女はいないぞ?
「あなた、私の腕を本気で
「繋がらねえよ。生えても来ねえ。そんな
「私が
「死にはしねえよ。中級ポーションだぞ」
「そう。誰もあなたと戦いたくないわけだわ」
「そんくらいの
「私たちだけではない。『レッドビーク』たちもいた」
「ちっ。あいつらは戦力になってなかったろ。俺様より弱ええし」
「あなたはなぜ行かなかったのかしら?」
「あいつらが
「
「ちげえよ。俺様はパーティー『フロウ』のリーダーでクラン『ケンタウルス』のトップだぞ」
「そうだったわ。竜王の庭園には行くの?」
「さあね。知りたいか?」
「
「ぎゃははっ。だろうな。そういやお前らセイジって言う冒険者を知ってっか? お前らと同じ黒髪の冒険者だそうだ」
「知らないわ」
「そうか。そいつはソロで『
「あなたならダンジョン攻略は可能なのでは」
「楽勝だけどよ。剣が依り代とは限らねえだろ。買ったほうが早い」
「そうだね」
アイゼンは二人のやり取りを
(冒険者っぽく話せってルナに言ったのは俺だけど、他人には
すると、オーガストがアイゼンを見た。
「アイゼンは何で
「アイゼンはノドにポーションでは
ルナがオーガストの問いに答えた。
「ほーん。なるほどね。まあ、気を落とさずに
オーガストはアイゼンの方をバシバシ
アイゼンは
オーガストはエールを飲んだ後、ルナに言った。
「ふう。そうそう。マーキュリアスに向かうお前らのために
「どういうこと?」
「言ったとおりだ。まだ受けてないんだろ? 俺様って親切だよなあ。ここに
商人は店内を見渡すとオーガストを見つけテーブルにやってきた。
「オーガストさん。こんにちは。そして初めまして『女神』の皆様。私が依頼主であるマグノリア商会のアンドレイと
「そう。他の冒険者は?」
「二組の冒険者パーティーがいます。ただ『女神』様の
オーガストが料理を食べながら口を
「心配すんな。『女神』が全部やってくれっから」
「おお。さすが『女神』様。今は高位の冒険者が不在でしてオーガスト殿の
「大船に乗ったようなもんだ。お前は
「それもそうですな。
「わかりました」
「ありがとうございます。第1級のルナ様ならば冒険者たちを
「この街の冒険者は俺様が教育してっから、こき使っていいぞ。ぎゃはは」
「あなたではないから
「さすがルナ様。では私はこれにて失礼します」
依頼主のアンドレイは店に帰っていった。
オーガストはあっというまに料理を食べ切った。
「んじゃ。俺様も帰る。ごちそうさん。白の大地で会ったらお返しにおごってやんよ」
「それはどうも。
「ぎゃはは」
オーガストは店を出て行った。
「はあ。勝手に依頼を決められちゃったね」
「
「いや。受けようか。どうせ行かなくちゃいけないんだし」
アイゼンとルナも店を出るとそのまま宿屋に向かった。
翌朝、アイゼンとルナは城門に向かうと、すでに隊商と護衛の冒険者たちがいた。
依頼主のアンドレイが護衛に参加する二組の冒険者パ-ティーのリーダー二人を引き連れて、アイゼンとルナの所にやってきた。
「おはようございます。女神様」
「おはようございます」
ルナが返事をし、アイゼンは軽く
「こちらが女神様と共に護衛をしていただく冒険者パーティー『ダーク グリーン』のエンリケさん。『ダーク グリーン』は20人の
「『ダーク グリーン』のリーダーをやってるエンリケだ。第1級と仕事ができるなんて
「『ライト グリーン』のリーダー、カーターだ。同じく何でも協力させてもらうぜ。よろしくな」
「よろしく。我々は冒険者パーティー『女神』。私はルナ。彼はアイゼン」
「次の街までは日が
依頼主のアンドレイが荷馬車の
ルナがエンリケとカーターに指示を出した。
「女神が先頭を行きます。『ダーク グリーン』は荷馬車の2台めから6台目までを。『ライト グリーン』は7台目から
「わかった」」
隊商はディープブルーの街を
ディープブルーはワーブラー領の西端に位置している。
ワーブラー領はアルケド王国の北東にある東西に長い領地で北で海に面している。
ワーブラー領の東側は
アルケド王国の東部にはワーブラー領、マーキュリアス領、シャルトルーズ領があり、30年前に
アルケド王国とエクリュベージ王国との国境には魔獣の
ワーブラー領のディープブルーからマーキュリアス領の領都マーキュリアスまで街道が南東に通っており、
距離はおよそ350キロメートルだ。
日が暮れる前に隊商は『フレッシュ ウォーター』の街に
フレッシュ ウォーターの街は七つの湖に囲まれている。
街の東には一番大きな湖があり、その湖に浮かぶ島に街の
先頭を歩くルナに
「この街から先は領都マーキュリアスの近くまで町や村はありませんので、野宿のために造られた広場で
「わかりました」
隊商は城壁に囲まれたフレッシュ ウォーターの街に入り、全員で食事を
早朝、隊商は領都マーキュリアスに向かって出発した。
アルケド王国東部には
フレッシュ ウォーターの街を出発して数日は何事もなく
隊商が街道を進んでいると森の中にそびえる岩山を通り
その
魔鹿の背後には5体の魔獣がいた。
魔鹿はその魔獣から逃げていた。
ルナは魔獣たちの
ルナは手を上げて荷馬車に
「荷馬車は停止をしてください」
隊商がゆっくりと
「護衛のリーダー。集まって」
ルナが護衛の冒険者たちのリーダーを
「こちらに魔獣が接近して来てるわ。それに盗賊たちも。盗賊たちはこの先の森に
「なにっ」
「どうしたらいいんだ」
「我々が魔獣を
「わかった」」
二人は指示を伝えるため自身の冒険者パーティーの所に向かった。
ルナとアイゼンは護衛たちから離れ、森に近づいた。
「アイゼン、近づいてくる魔獣たちの中心に向かって魔盾の魔法『
「わかった」
アイゼンは魔盾を
「
アイゼンは
すると、木々の間を走る一頭の巨大な鹿が見え、その後ろに犬の頭部をした黄色い
大トカゲの魔獣がケガをした魔鹿を
巨大な魔鹿よりさらに大きいトカゲが先を
護衛の冒険者たちも木々の
「あれは、ミャラだ。
護衛の冒険者たちが口々に
大トカゲに追われた魔鹿は真っすぐに、隊商に向かって
「アイゼン。発動を」
「わかった。『
詠唱が終わると、森の中を走る魔獣たちの中心で
吹雪が止むと3つの氷柱が出現しており、すぐに
森の中に無数の氷の
ルナが魔獣たちの中に
ルナはまだ
その時、盗賊たちが大声を上げながら姿を現したが、
「なんで魔獣たちが
準備をして待ち
アイゼンもその中にいた。
(買ったばかりの魔法を食らえ。『
盗賊たちに向かって複数の小石が
「ぎゃっ。痛ええっ」」」」
「ぐっ。魔法使いがいるぞっ」
「お前ら
「ぎゃーっ。お頭っ。冒険者の数が多いっ」
「ぎゃーっ」」」「ぐわっ」」」」
いつの間にかルナも合流しており、冒険者たちを助けながら盗賊たちを無力化していた。
冒険者のリーダーたちがルナの所にやってきた。
「お疲れ様。けが人は?」
「いや、いねえ。さすが第1級だ。
「ああ。
「相棒の魔法も
「そうだな。魔道具の盾なんだろうな」
「あなたたちの能力も高かったわよ」
「へへっ。ありがとよ」
「
二人は護衛の場所に
隊商は出発した。
隊商は
ルナが冒険者たちに声を掛けた。
「冒険者の皆さん集まって」
すぐに冒険者たちが集合した。
「私たちが最初に見回りをするので、皆さんは食事を
「わかった」」
何事もなく朝を
数日後、隊商は領都マーキュリアスに近い街『ライト ブルー』にたどり着いた。
アンドレイが街の説明を始めた。
「この街は領都マーキュリアスの北西にあります。領都まで目の前ですね。領都の南西には第2都市ディール グリーンがあります。人口は1万人ほどですね」
「そうですか」
城壁の近くには多くの路上生活者が座っていた。
そのライト ブルーの街は小さく、あまり豊かではなかった。
「
「それは大変ですね」
「ええ。王国も何とかしたいと思っているようで東部開発を進めているのですが、この領地は森深く開発がなかなか進んでいません」
隊商は街で一泊し、早朝に領都マーキュリアスに向けて出発した。
広大な森の中に
森の中にある領都マーキュリアスは
城壁に隊商が近づていくと、街の外側の城壁に
街の中に入り切れなかった路上生活者が街の外で多数生活しているようだ。
隊商は北門から領都の中に入った。
領都には18か所の城門が設置されている。
領都の周辺にはいくつもの湖が点在し、城壁に囲まれた街の中を川が
隊商は石畳の大通りを通り、街の中心に向かった。
大通り周辺は4階建ての石造りの建物が立てられており、それ以外は2階建ての石造りの建物が
街の中心には広場があり、そこには竜神教会、冒険者ギルド、そして
隊商は中央通りに建つ依頼主の店に向かった。
しばらくして隊商はマグノリア商会の店の前に着いた。
依頼主のアンドレイが冒険者たちの前に立った。
「冒険者の皆様、ここまでの護衛ご苦労様でした。何度も魔獣や盗賊に
「ありがとう。隊商の皆さん、冒険者の皆さんが無事に誰一人欠けることなくディープブルーの街に戻ることを願っています」
「ありがとうございます」
アイゼンとルナは隊商の護衛を終え、その場を離れた。
アイゼンとルナは料理屋に向かった。
アイゼンとルナが料理屋に入るとルナが料理を注文した。
食事が運ばれて来てアイゼンが食べようとしたところ、見知らぬ女性がやってきた。
その女性は背が高く
「こんにちは。アイゼンさん。ルナさん。少しお時間いいかしら」
その女性はアイゼンの出身国である八島の言葉で話しかけて来た。
「っ!?」
アイゼンはびっくりして食事の手が止まった。
「はい。なんでしょう。あなたは人間ではないわね」
「ええ。あなたと同じアンドロイドです。私は八島所属の
「なぜあなたが接触しないの?」
ルナがカレンに聞いた。
「セイジは
「私たちが
「はい。セイジもあなた方も冒険者ですから」
言葉がわかるアイゼンだったが状況について行けず、二人のやり取りをただ
「それでセイジに接触して何をすればいいのかしら」
「セイジも八島出身者ですが、彼はそのこと知りませんので、そのことは
アイゼンは異世界という言葉に反応した。
(異世界? 異世界があるのか)
「わかったわ。それだけなの?」
「もう一つはルナに対する提案です。私たちが
「ネットワークですか。確かにここにはないですね。なぜあなたは繋がっているのですか?」
「現在製造が中止されているアンドロイドですが、今も動いているアンドロイドが情報の
「なるほど」
「あなたは初期型のアンドロイドで使用できる能力も初期設定のままです。我々の仲間になれとはいいません。ネットワークに加入すればあなたにとって有益な情報がいつでも手に入りますよ。加入するかどうかは契約者であるアイゼンと
「そうね。こちらから質問しても?」
「どうぞ」
「この地域には私やあなた以外に
「ええ。八島以外のアンドロイドも複数体確認しております。その方々には接触しないことをお
「なぜそのアンドロイドの契約者を
「その方々の行動に
「そう」
「出来ればルナがアンドロイドとは知られないように行動した方がいいでしょう。そのアンドロイドの契約者から
「なぜアンドロイドを
「その者たちは古代魔法文明、すなわち八島のような白砂システムを
「なるほど」
「あなたがネットワークに加入するしないに関わらず、セイジには接触していただき伝言を伝えていただきたい。場所や時期は問いません」
「わかった。ネットワーク加入については契約者であるアイゼンと相談するわ」
「それでかまいません。これを」
カレンはテーブルに
「この玉を取り込むとネットワークに加入できます」
ルナはビー玉のような透明な
「セイジの能力について
「どういう意味ですか」
「
「加入した場合は利用させてもらうわ」
「それからアイゼンが
アイゼンはびくっと体を
「宝槍の名は『
「私が戦闘で
「そうですか。『大師の槍』には4つの能力がありますが、一つだけ教えてもいいそうです。能力名は『
やっと落ち着いてきたアイゼンが会話に入った。
「おお。すごいですね。あの。家族や
「はい。心配には
「そうなんだ。心配かけちゃってるな。でも情報が伝わってるから安心か。ん? 俺のやっていたことすべてが
「ここにも白砂システム管理者がいますが、世界崩壊後からそれぞれが独自に発展を
「そうなんだ」
「話は以上です。では失礼いたします」
カレンは店の外に歩いて行った。
セイジは注文していた塩漬け豚のすね肉を
「
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