第145話 成績発表


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1位:ビィー 特典 支度金100万シフ 


2位:ナナシィ 特典 支度金50万シフ


3位:モゥモ 特典 支度金30万シフ


4位:サロン 特典 支度金10万シフ


5位:アーベント 特典 支度金5万シフ


6位:ジュエン


7位:シュタイズ・ウンターゲーブナ


8位:ズゥーハ


9位:ゼンカ


10位:スシュタン


11位:ネッフ


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「なぁっ!?」


 映し出された成績を見て、シュタイズが立ち上がる。


「……へ?」


 ほぼ同じタイミングで、ビジイクレイトも驚きのあまり声をあげた。


「な、なんで一位なんだ!?コイツが!!」


『な、なんで一位なんだ!?俺が!!』


 シュタイズの声と、ビジイクレイトの心の声が綺麗にハモる。


 このとき、シュタイズとビジイクレイトは、想いを同じにしていたのだった。


 それはそうだろう。


 魔獣から逃げ回っていたビジイクレイトが1位になるなど、普通はありえない。


「あー……説明し忘れていたが、今回の成績で上位の者たちには支度金が用意されている。それも考慮して、これから徒党を組むのか……」


「そんなことはどうでもいい!これは、どういうことです!ビィーが一位!? あり得ない!」


 シュタイズが、席から離れて、スカッテンに詰め寄る。

 

「……なんだ?」


「……この評価は間違っている。やり直してください」


 シュタイズの当たり前の抗議に、スカッテンは不機嫌さを隠さずに大きく息を吐く。


「いや、正しい。今回の一位はビィーだ。それに間違いはない」


「なぜですか!? 昨日、僕は指摘したはずです。彼の悪行を! ビィーは、僕達に『魔獣』を押しつけて逃げ回っていたんですよ!? そんな男が、なぜ一位なんですか!」


『そうだそうだー!』


『いや、なぜ主が賛同しているんだね』


 シュタイズの意見は、真っ当だ。


 ならば、ビジイクレイトが賛同することに何の間違いがあるというのだろう。


 あるわけがない。


 顔が真っ赤になり、震えてさえいるシュタイズに、スカッテンは淡々と告げる。


「ビィーがこれまでに何をしてきたのか。それはもちろん知っている。今回の評価は、それを含めてのモノだ」


「だったら、なんで……!」


「この話はここまでだ。お前が叫んだところで、成績の順位に変動はない」


 頑な態度を見せるスカッテンにシュタイズは怒りが収まらないまま、睨みつけている。


『……これまで、か。なんで俺が一位かわかったかも』


『おや、それはなんだい?』


『俺、ツウフの『魔境』で、アイツ等……スカッテンと部下……『黒猫の陰影』達に、回復薬を配っただろ?』


『ああ、そういえばそんなことあったね』


『一本10万シフの回復薬を11本。あれの代金、まだもらってなくてな』


『……つまり?』


『回復薬の代金100万シフ。あいつ、支度金で回復薬の代金を支払うつもりだな』


『えー』


 ビジイクレイトの予想に、さすがのマメもすぐに言葉が出てこない


『それは、あんまりにも……なんというか、卑怯ではないかね?』


『でも、それくらいしか、俺が一位になる理由がないだろ?』


『いや、課題を採取していたとかあるじゃないか』


『魔獣から逃げ回っていたのに?』


 マメと一緒にビジイクレイトが首を傾げている間に、シュタイズが席に戻っていた。


 これ以上、スカッテンに何を言っても無駄だと思ったのだろう。


 戻るときに、しっかりとビジイクレイトを睨みつけていた。


『そんなに怒られても、マジで知らないんだよな、これ』


『それで、これからどうするんだい?』


『どうしようか……』


 ビジイクレイトの予定では、最下位になったことで、そのまま島から追い出してもらう予定だった。


 しかし、一位だとその理屈は使えない。


『……もしかして、それも狙いか? 俺を島から出さないために……!?』


『そもそも、なんで主をこの島に連れてきたんだろうね』


『しらん』


 もう、わからないことばかりである。


 ビジイクレイトが混乱している間に、スカッテンが皆に告げる。


「今日は、この集会所と食堂を開放する。徒党を組む者は、利用しろ。細かい決まりは木札に書いているから各自確認するように。では、解散」


 スカッテンが解散を宣言するが、誰もすぐには動かない。


 状況の変化に、まだついていけてないのだろう。


 そんな中、いち早くビジイクレイトは立ち上がった。


『……おや、主はどこにいくんだい?』


『よくわからないから、とりあえずお茶でも飲んでくる』


 想定外のことが起こり、思ったよりも疲弊した。


 ビジイクレイトはまだ座ったままの子供達をおいて、食堂に向かうのだった。

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