7話 影を堕とす


 横浜、とあるビルの一部屋。


「へぇ……」


 PCにデータとして送られてきた今回の任務内容を見た男は、興味深げな言葉を呟くと同時に、薄気味悪い笑みを浮かべた。

 男はPCを閉じると、ジャケットを雑に羽織り、外へと出向きすぐさまスマホを取り出した。

 スマホを取り出した男はとある人物に電話をかけ、耳元にスマホを当てた。

 電話越しの相手はすぐに応答したのか、マイクから小さく『もしもし』と聞こえた。

 男は相手の声が聞こえると、相変わらずの薄気味悪い笑みを浮かべながら言葉を紡ぎ出す。


「組織の情報が当たったらしい。久々の仕事だ」


『了解。集合場所は赤レンガ倉庫の一角で』


 たった少しの会話で電話は途切れたが、情報はしっかりと共有できているらしく、男は特に電話を掛け直す事もせずに、ポケットに使い終わったスマホを押し込んだ。


「久しぶりに────楽しい仕事になりそうじゃねえか」


 夕陽は沈み、夜の帳が下りる。

 ゆっくりと、しかし確かにソレは影を堕とす。

 この街に潜む、を狩る為に────


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