わたしのもの

石を落とされ、水たまりに沈むショウリョウバッタ

潰れた腹はきっと鮮やかな緑色だった


石に紛れてきらりと光る、たからものみたいに淡く青いフロントガラス

車の死骸と知らずに集めていた


くらいくらい林の陰、ひとすじの陽の光を受けて、まっすぐに立つ彼岸花一輪

落としたボールなど忘れて見入っていた


弄ばれて、もう動かないアマガエル

土の中で私を呪っているだろうか


2階から、ぱっとばら撒く桜の花

薄桃色の雨が降る


橙の灯りの中、黒い影がふすまを走る

上がる悲鳴を背に、呑気に感心していた


身の丈よりも大きな蛇が、目の前を通り過ぎたあの時

声も出せずに立ち尽くす夕暮れ


またねと手を振って、家へ駆け出す放課後

嫌われてたことをまだ知らない幸せなひととき


全部全部、わたしだけのもの。

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