第五怪 福ヲ与エル存在

 これは、霊力の修行の合間のとある日の出来事。



 ふと私は、初めて焔さんの家に来て和室に入った時の事を思い出した。



 ***


 和室は、お客様に誰の部屋と言う風に決まったわけじゃないので綺麗にしてあり机、座布団などそれなりの備えはしてあり押入れもある。


 辺りを見渡すとふと私の視界に気がかりなものが入ってきた。 


 壇の所のにたくさんのぬいぐるみやフィギュアそれに人形など他にも昔のおもちゃから現代のおもちゃまでぎっしりと並べなられていた。 


 そのおもちゃのある壇の方へ目をやっているとふいに声をかけられた。


「そこのおもちゃ気になるよね?」


「あっ、いえ、その何と言うかたくさんあったので大切に飾ってるなぁってつい思って……」


「そこのおもちゃは、私と弟が小さい時に遊んでたおもちゃで捨てようと思ってたけどなかなか捨てれなくて気がついたらそこにだんだん溜まってて気がつけばずっと放置されたままなんだけどもう捨てなくても良いかなぁ〜なんて……」


「そうなんですね(焔さんもやっぱり小さい頃はおもちゃで遊んでたりしたんだなぁ〜そんな幼い時の焔さん見てみたいなぁ〜)」


 この時、話していたあのおもちゃがまさかあの子と出くわすきっかけになる事も私はまだ知らないでいた。


 今日もまた修行に取り掛かる予定だったが、焔さんに息抜きに島を探索してくると良いと言われたのでひとまず休憩がてら探索する事にした。


 家を出てしばらく一人で特に何も考えずに散歩程度にゆっくり歩を進め島の景色を眺めながら歩いていた時だった。


 近くから複数の子供の声が聞こえて来た。    


 どうやら島の子で遊んでいる様子だった。   


 私は、近くを通り過ぎようとしていたその時ふと声をかけられた。


「あっ、そこのお姉さん」


 声をかけきているのは幼い少年だった。


 だが私は、まさか自分に声をかけていると思わなかったから微妙な返事をして応答してしまっていた。


「ん、あっ、えっとそのお姉さんって私の事?」


「うん、そうだよ」


「そっかそれで私に何か用かな?」


「用って言うかお姉さん今、一人ぽいから一緒にみんなと遊ばないかなぁ〜なんて……」


 ふと、少年の言うみんなと言うワードに引っかかり奥の方へ視線を向けると少年の他に友達と思しき人が数名いた。


 どうやらみんなと言うのは、彼等の事で間違いはないだろう。


 私は、誰かと遊ぶ事やそう言った事は苦手だから本当ならここで「ごめんなさい」って断るとこだったが今日は、気分転換と言う事でひとまず少年の誘いに乗る事にした。


 私は、少年に連れられて他のみんなのところに行くとそこには六人の子供たちがいた。


 女四人、男二人に少年を合わせて全員で七人の子供。

 みんな揃ったところでしたい遊びを決めてとりあえず一つずつ遊んでいく事になった。


 何気に誰かとこう言う風に外で仲良く遊ぶきっかけなんてなかったから何故だか凄く楽しいって感覚に満たされていた。


 何故、今まで誰かと遊ぶ事がなかったかって言われると理由は、はっきりしている。


 それは私。


 私の存在そのものが理由だ。


 私は自分でも承知の上で霊力と言う不思議な力をその身に宿している。


 そのおかげで通常の人には、見えるはずのない妖怪など当時はまだそれが何なのかよく分かってなかったけれどそのような存在など見えるが故に気持ち悪いだの嘘を言ってるだの不気味な子だと思われ周りからも距離を置かれ続けた結果。


 親しい友人の一人も出来ずこんな風に複数人で楽しく遊ぶ事は経験はなく初めてだった。


 初めは、サッカー。


 次にだるまさんがころんだ。


 そして最後にかくれんぼ。



 そんなこんなで子供たちと遊ぶ事になった。


 三連続ぶっ続けに遊ぶとなると流石の私もちょっと疲労に追い詰められていた。


 私は、二つの目の遊びが終わった後、しばらく休憩にしてから最後のかくれんぼではじゃんけんをして鬼を決めるとこからスタートした。


 ここで私は、惜しくもじゃんけんで負けてしまい見つける側つまりは鬼となってしまった。


 私は瞳を閉じて十秒程度数を数えている時だった。


 ふと脳裏に幾つもの存在を感知とらえていた。


 それはまるで火の玉のような何かの形、具体的な形までは分からないが数が偶然なのか七つだ。


 その数は、奇跡的に子供達の数と一致していた。


「なんだろう? コレ?」


 この時の私は正直何がなんだか分からなかったが詳しくは考えず数を数え終えた。



「もういーかぁい?」っと声をかけるも当然だけど反応は、ない。


 子供たちは、どうやら上手く隠れたようだった。


 呼びかけに応じないのも当然ちゃ当然だよねそれで答えちゃったら自分から居場所教えているようなもの。


 脳裏で色々考えながら探し始める。


 その直後先ほどの光景が脳内に蘇り今一度瞳を閉じて確認してみるとやはり映し出された未知の光景。


 わたしは、仮にこの輝く何かを子供達だと当てはめてコレを頼りに子供達を探してみる事にした。


 すると、まるで当てはまるかのように次々と子供たちが見つかる。


 その後、私は一人二人と次々と子供たちを探し出した。

 

 遊びが終わった後。


 陽も落ち夕暮れ時になり私は子供たちとさよならをした後、その場を去り、焔さんの自宅へと帰ったがその時、私は私とほぼ同じタイミングで実はこの家へと侵入していた小さな存在がいた事に私は気づいていなかった。


 翌朝。


 私は目を覚ますと私のとなりにおもちゃの置いてある所で可愛らしい声と共におもちゃで遊ぶ小さくておかっぱ頭の女の子がいた。


 私はその存在に気がついて目を大きく開き確認し声をかけてみた。


「あのそこの君は、一体誰?」


 その声に反応したそれはビクッと反応しこちらを少しチラッとみるとビックリしたのか素早くその場から姿を消してしまった。


 なんというか私のその子の第一印象は、怖がりとか恥ずかしがりやといったところだろうか? 直ぐにどこかへ逃げていってしまった為、会話が成立しなかったが私は消して驚かしてやろうだなんてつもりなんて一切なかったがびっくりさせてしまった事に関しては正直申し訳なさでいっぱいだった。




 布団から起き上がり和室を出て焔さんのいる所へと向かうと何やら話し声がしてきた。


 一つは、聞き覚えのある声に対してもう一つの声は幼くかわいいらしい声で知らない声だった。








 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妖霊奇伝 黒白鬼《あいろき》 @Airoki099

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ