第二怪 喰ワレタ日
四月三日。
今日は、私の誕生日だから帰宅したら両親がいつものように自分の誕生日を祝いしてくれから楽しみにしつつ一人歩き、寄り道もせず真っ直ぐに家まで帰宅していた。
そして、無事に家まで帰宅した。
家の前まで来るとドアの鍵を開けて家へと入った。
「ただいま」の一言をいつもと同じように告げる。
しかし、妙だった。
返事が無い。
と言うかどこか不気味なほどに物静かだった。
いつもならばここで両親の「おかえり」の一言が返ってくるはずなのにそれも無かった。
私は、もしかしたら寝ているのかもしれないっと思ったがやはり変だと感じた。
仮に寝ているにしても今日は、私の誕生日だと言うのに家の中は、誰の声も無く物静かで少し自分の家のはずなのにまるで別の家のような感覚で奇妙な感じがした。
そして、私は、リビングへと足を踏み出そうとした。
その時だった……。
そこからは、奇妙な音が聞こえてきた。
私は、その音がして怖くなり足を止めて隠れてしまった。
それから私は、リビングを恐る恐ると覗くように見入っているとそこには何と言えばいいのか分からないけど何が何かを喰らっていた。
私は、目を擦り今一度それをじっと見て確かめてみる。
えっ? 何、アレ?
するとそこには、横たわる二人の人間を喰らう異質な存在があった。
やがてそれはちまちま喰らうのが面倒に感じたのか最後に肉を余す事なく全て喰らい尽くした。
そこに残った物は、何一つとして無かった。
喰らい終えるとそいつの背後に異次元の穴のような物が出現していた。
そして、そいつは恐らくお腹が膨れたのでその穴で何処かに帰るのだろう。
だが……。
その穴に入る直前、動きが止まった。
その瞬間私の存在に気づいたらしくこちらを振り返ってしばらく凝視していた。
その時、私はまるで奴の放つ気が私の体を硬直させていた。
動きたいのに動けずにいた。
俗に言う金縛りというやつだ。
奴はしばらくこちらの様子を伺っていたが興味が失せたらしく突如出現した穴へと帰っていった。
謎の存在がその場を去ると静寂で満ち溢れていた。
まるでさっきの出来事が嘘だった事のように思えてきた。
そして、私は、床に座り込んでしまった。
状況が全く理解出来ず。
怖くなった。
何なの? これ? 夢? 幻?
気がつけば体が震えて目からは、透明な雫が止まる事のない勢いで溢れていた。
何でなの?
こんなの、あんまりだよ。
お父さん、お母さん 今日私の誕生日だよ。
なのに……どうして? どうして? 何でこんな事が起きるの?
きっとコレは夢か幻だと思い込み頬を強くつねる。
痛い。
明らかにわかる感触が頬に伝わり私は気がつけばは、瞳から透明な雫を無意識に零していた。
悔しくて泣いた。
すぐそばにいたのに両親を救う事さえ叶わずただ自分一人だけが生き残ってしまった。
コレも全部私のせいなのかな?
私がこんな力を持って生まれたから見る事が出来るからなの?
私は、今日自分の誕生日に目の前で奇妙な奴に両親を喰われた。
後で気が付いたのだがリビングの机に飾ってあった家族で撮った記念写真には、何故か両親の存在がキッパリと消えており、その写真にはニコニコ笑う私一人だけが写っており微かにひびが入っていた。
この奇妙な出来事は、実は彼女だけに起きた出来事ではなかった。
怪奇町の至るところで前々から起こっていた。
家に居ても立っても居られなくなった私は泣きながら家を飛び出した。
行く当ても特になく今は悲しみでいっぱいいっぱいで溢れた思いをどうにかしたくて無我夢中で唯唯、走りづけた。
気がつけば海の見える堤防近くまで来ていた。
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