塔の住人たち-Ⅲ

「はい。もしもし……もしもし?」


「どうしたの? エマ」


 キングとエマが住むマンション。そのリビングで受話器を取ったエマが首をひねっていた。キングは現在、国家プログラムによって保護されている。よって、ここの電話番号を知る者は極少数に限られていた。


「無言電話です。ただ……後ろでずっと音楽が流れてまして『民衆の歌』なんですけど」


「……アンナだ」


 キングが慌てて電話を代わる。港が見える公園で再会した時、キングはアンナに『レ・ミゼラブル』の話をしていた。ハイスクールでも同様の話をしたが、今や覚えているのは眼鏡のマシューだけだ。そして、現在のマシューはヨシュアを善人だと思っている。


 アンナに渡したポケベルでキングは、自宅の電話番号を伝えていた。彼女は目が見えない。本来ならば持っていても意味のないポケベル。その本懐ほんかいは振動にあった。


 案の定というか……アンナは監視されている。これはモールス信号だ。


 微かにだが受話器を叩く音がする。耳を傾けていたキングは、顔を上げると受話器をふさいだ。


「……レイラ?」


 もう一度、受話器に耳を当てる。やはり受話器は『レイラ』と伝えてきていた。キングは受話器を置くと再び電話を手に取った。一度だけポケベルを鳴らす。アンナであればそれがOKサインだと気づくだろう。


 トロイはアジトを移したはずだ。今はどこに拠点を置いているんだ。


 この日、FBIによる教団イブの庭一斉捜査が行われた。血まみれの惨劇は教団イブの庭の一斉自害で幕を閉じた。FBIも相当な痛手を負った。児童12名の保護にも成功した。しかし、国家が非難を浴びるのはもはや時間の問題であった。


 早くもマスコミでは、教団イブの庭が冤罪えんざいだったとの説をしきりに流している。キングは、テレビに映る自称専門家の与太話に目をやっていた。金を積めばいくらでもそれらしい話をする自称専門家たち。

 

 レイラの里親はイブの庭の熱心な信徒だった。現場にはいなかったけれど……いや、違う。


 あれだけ熱心な信徒が現場にいない方がおかしい。


 ヨシュアが動いている。が。一斉捜査は始まりに過ぎない。

 


 

「トロイなら、国境近くのすたれた街へ移動しました」


 リビングに響き渡る突然の声に、二人は特に驚いた様子もなく顔を上げた。その軽薄で演技がかった口調には、もはや親しみすら感じる。魔術師だ。


「なんだよ、魔術師。居るなら姿くらい見せたら良いじゃないか」


「いやあ、最近お肌の調子がどうも……私も年ですので。死神にもという概念はあるのですよ」


 アジトの座標を記したメモが天井からひらりと舞ってくる。死神姿になったキングは空中でメモを受け取ると、自身の身体をマントに包み込んだ。己の眼球よろしく急回転を始めた身体。完全なる球体と化したキングは紙吹雪のように散ったかと思うと、マンションから消えていった。




「……本当の事を仰らないつもりですか。魔術師さま」


「時と場所を選ぶつもりです、エマ。貴方はキングにジョージの事を話ましたか? 消息不明になっている件です」


「いいえ、この状況ではとても。というのは本当に狡猾こうかつですわね。坊ちゃんをまるでねずみか何かと思っているようで不快になります」


 魔術師の含みある沈黙がしばし続く。


「ヨシュアにとっては、全てがねずみかそれ以下なのでしょう」


 珍しく棘のある声で魔術師が呟いた。革靴の音が鳴り響く。彼の言葉を受けたエマの眉間にも深いしわが刻み込まれていた。




 トロイに戻ってきたレイラは、アジトの建屋を見つめていた。


 バイクから降りてゴーグルを外す。豊かな黒髪が汗ばんだ胸元へ垂れていった。砂嵐の起きていない街に立ち上る陽炎かげろう。その強い日差しを浴びたレイラの瞳には悲しみの色が宿っていた。


「レイラ、お帰り」

「今、食事中なんだ。一緒に食べようよ」

「カインは?」


 レイラとカインを慕うアダムの子らが続々とアジトから姿を現す。レイラは少年たちに微笑みかけると軽口かるくちを叩いた。


「冗談じゃない。アンタたちと食べたら私の分がなくなるわ。一人で缶詰でも食べるからいいわよ」


「えー、酷いや」


 思わず声を上げてしまった少年の頭を愛おしそうに撫でたレイラ。彼女は笑いながら戻るよう手で促すと、建屋の二階へ引っ込んでいった。


 階下では、食事を再開した少年たちの賑やかな声が聞こえてくる。扉を閉めたレイラは、しゃがみ込んで嗚咽おえつしていた。両手で顔をふさぎうずくまる。もうじき、あの子たちともお別れだ。


 迷ってはダメ。私は里親を守ると決めたんだから。


 トロイでは、洗脳の解けた子とそうでない子が共存出来ていた。それはひとえにレイラの存在に尽きる。遠くにいる神様と近くにある母性。どちらを選ぶか。聞かれるまでもなく、彼らは本能でレイラを選んでいた。


 殺人しか知らなかったレイラに愛情を教えてくれたのは、里親だった。彼女にとって、里親の洗脳など重要な問題ではない。それが当たり前の世界で育ってきたのだ。


 『どれだけ洗脳されようとも、愛情だけは奪えない』


 レイラは経験を通して、その事を知っていた。


 ごめんね、みんな。


 レイラは顔を上げると、テロを仕掛ける連邦ビルについての資料を広げ始めた。

 


 


 ◆





 カインがアジトに戻ってきたのは、日が暮れてからだった。元のアジトに比べてここは田舎だ。街明かりがない分、澄んだ星空がひと際輝いて見える。


 ゴーグルを外したカインは、明かりの灯る建屋を見ていた。バイクから降りようと足を広げる。その刹那せつな、下から突き刺すような痛みに顔を歪めたカインは「大丈夫」と自分に言い聞かせた。


 何て事はない。俺が今まで特別だっただけだ。

 皆、経験している。

 これは仕事の一環だ。


 震える身体を立て直したカインが吐き気を押し殺す。そして無理やり呼吸を整えると建屋の中に入っていった。


「遅かったじゃない、カイン」


 部屋の中では、レイラが連邦ビルの設計書とにらめっこしている最中であった。テレビではマスコミが、ヨシュアのいた種に大喜びで喰らいついている。もう後戻りは出来ない。この加熱ぶりから計算するに、決行は一週間以内が妥当と思われた。


 どんな事件にも賞味期限がある。期限が切れてから行動を起こしても意味がない。


「やっぱり1人じゃ厳しいわね……爆弾の量が単独テロって筋書きだと破綻するのよ。イスラムから傭兵借りようかな」


「テロは俺がやる。お前はトロイに残れ」


「ダメよ。こういう事には順番があるんじゃない? どのみち、アンタだって近いうちに死ぬわ」


 立ち上がったレイラが冷蔵庫へコーラを取りに行く。ふいに引き締まった腕をカインが掴んだ。酷く真剣な表情をしている。レイラはその眼差しに戸惑いを隠せないでいた。


 沈黙が流れて、うつむいたレイラが事実をポツリと告げる。


「……ゲームオーバーよ、カイン。7セブンが生きてた。ご丁寧にが直々に知らせてきたわ。アイツを抑えられるのはアンタだけよ。今回は私がやるしかない」


「どうしてそこまでお前に拘るんだ? は」


「違うわ。こだわってるのは私じゃない、アンタの方よ。私の役割はキングへの嫌がらせ。その程度の意味しか持ってない」


「ふざけるな! じゃあ、何のために俺……俺は!」


 カインから突き飛ばされたレイラは尻もちをついていた。衝撃でコーラが手から離れて壁にぶつかる。炭酸が音を立てながら床に飛び散っていた。


「もう何なのよ! 最近のアンタ、本当に変……」


 手をついて舌打ちをしたレイラが凍り付いていた。カインの履いているズボンにおびただしい量の血が付着している。出血が止まらないのだろう。生々しく濡れたままだ。


 カインは無言でシャツを脱ぐと床に叩きつけた。けがれを知らなかったはずの褐色肌があざと傷まみれになっている。どう贔屓目ひいきめに見ても拷問を受けたようにしか見えない。しかしそれがヨシュアの愛情表現であり、性欲のぶつけ方なのである。


 随分前に大人となってしまったレイラには、ありふれた光景でしかなかった。けれども彼女は、ついぞ慣れる事がなかった。こんなものに慣れてしまったら、人ではなくなる。


は満足させたら、役目を変えると言ってきた。俺が何時間、アイツに付き合ったと思ってる」


「……傷の手当をする。お湯を沸かすわ」


 キッチンへ向かおうとするレイラの背中を抱き寄せたカイン。彼は泣いていた。レイラの腰まである黒髪に顔を埋め、声を殺して泣いていた。カインには自分が兵器だというプライドがある。徹底的に破壊された自尊心を抱えたまま生きるくらいなら、兵器として散ってしまいたかった。


 ヨシュアはこれからも、カインの身体を求めるだろう。

 当然の権利として。

 アダムの子に拒否権などない。

 

「爆薬は俺が運ぶ」


「……分かった」


 今度はレイラが唇を重ねる番であった。最初で最後の口づけ。涙でぐしゃぐしゃになったカインの頬を両手でそっと包む。テロを決行したが最後、二度とトロイへは戻れない。そして、残された少年らを率いるのはカインにしか出来ない事であった。


 こんなに痛めつけられてなかったら――レイラは思う。


 好きなだけ抱かせてあげたのに。


 カインが唇を返してくる。押し付けるしか出来ない不器用な口づけ。それを受け止めたレイラの頬には涙が伝っていた。





 街外れにある電波塔。その頂上で中の様子を伺っていたキングが顔を歪ませていた。残った左目も悲痛な色味を帯びてゆく。さっきからてのひらの上にある眼球が止まったままだ。


 キングもまた、レイラと同じ想いに沈んでいた。


 物心がついた時には、否応なしに大人にさせられていた。けれどもそれは、人が同じ目に遭っても平気でいられる事を意味しない。何回、遭遇しても慣れない。心がえぐれるように痛む。どうやってもしの憎悪がもたげてくる。


 キングは、壮絶な殺意を隠しながら15歳になるまで生きてきた。


 壊れてしまった。もしくは麻痺まひしきったアダムの子。そんな彼らの行きつく先がキングたちの育った集落なのだろう。つかの間の快楽と引き換えに全てを受け渡す、家畜以下の存在。そんな場所がこの世にはごまんとある。


「僕たちは人間だ」


 キングは夜空に向かって叫ぶと、星々がまたたく闇の中へと消えていった。


 


 


 ◆





 連邦ビル爆破テロ決行当日。


 食料運搬車を装ったレイラとカインが地下駐車場に訪れていた。到着したのは30分前。あまり長い時間いても逆に怪しまれるだけだ。政府管轄のオフィスビルは警備も甘く、15階建ての建屋はむしろ質素でさえあった。


 それはつまり、首謀者が死亡するほどのテロを起こさなくて済む場所と言い換える事が出来る。


 計算づくが大好きなヨシュアらしいセレクトである。人々が足を止めるまでもないオフィスビル。その実態は連邦ビルというセンセーショナルさ。無関係な人間をも巻き込めるだけ巻き込みたいという願望。そのあまりのに、レイラとカインはうんざりとした顔をしていた。


 駐車場の奥では詰め所で小柄な警備員が大あくびをしていた。よほど暇でやる気がないのだろう。テレビに釘付けで二人が近寄ってきても知らん顔だ。


 カインが帽子を目深まぶかに被りながら、詰め所に近づく。


「すいませーん、ジェイソン食品です。搬入に来ました。サインお願いできますか」


「あれ……? いつもの人じゃないの?」


「ああ、あのおっさんすか。今日は腹の調子が悪いとか言って休んでますよ」


 気配を消し去って詰め所に侵入したレイラが警備員の背後に立つ。引き抜いたナイフが鈍い輝きを放っていた。


「サヨナラ」


 言い終わるが早いか警備員の喉笛のどぶえを掻き切る。


「カハッ!」


 警備員が声にもならない断末魔を上げて、前のめりに倒れ込んだ。その瞬間だった。詰め所にあった監視モニターが一斉にショートしたのは。にわかに緊張が走り出す。二人は瞬時に警戒態勢を取っていた。


 レイラはナイフを構えようとした。だがしかし、警備員の首からつかが抜けない。


「サヨナラはしないよ」


 警備員の帽子が転がり落ちる。

 スプラッター映画よろしく首を回転させたのは、警備員の変装をしたキングであった。


 ……!


 一瞬の隙を取られて、ナイフを奪われてしまった。咄嗟とっさにカインが銃を構えたがここでは発砲が出来ない。人が来てしまう。後手に回ってしまった二人の合間を縫って、キングがレイラの脇腹を蹴り上げた。そのまま机に手を掛けて詰め所の真正面、カインの真横を飛び抜けてゆく。背後に回ったキングは、彼の背中も蹴り飛ばしていった。


 低空飛行をしながら素早く死神の姿になってゆく。キングが目指したのは、二人が乗ってきた車だった。ビルを崩壊させるだけの爆薬を積んだ食料運搬車。


 先に体勢を立て直したのはカインだった。キングと変わらぬ俊敏しゅんびんさで、車上を次々と飛び渡ってくる。彼は持っていたボールペンでフロントガラスをたたき割ると、ガラス片をブーメランの如く投げつけた。


「させるか、死神!」


 低空から高空へ。きりもみ飛行をしたキングがガラス片を蹴り返す。だからどうしたと言わんばかりのカインが身体を自在に回転させた。ダクトを掴み、足でキングの首を絡め取ってねじ伏せる。そのまま地面に叩きつけられたキングは、滑るようにして車の下にもぐり込んだ。


 すかさずカインが、靴に仕込んだナイフでタイヤを潰す。キングはとっくに居場所を変えていた。


 駐車場にあったコーンが一斉に浮き上がり、凄まじい勢いで攪乱かくらん飛行を始めた。視界をさえぎられる。サイドミラーをねじ切ったカインがコーンを払いながら叫んだ。


「どこにいる、死神!」


「ここだよ」


 フロントガラスを突き破ったキングが、ボンネットの上にいたカインの足を引っ張る。転倒の衝撃でサイドミラーが手から離れていった。同時に靴も飛んでゆく。引きずり込まれたどさくさを利用したカイン。彼はキングの頸動脈に車のキーを突き立てた。が、その程度で死ぬようなら死神などやっていない。


 狭い乗用車の中で、二人は殴り合いの喧嘩を始めていた。クラクションがやたらと鳴りまくる。


「猿みたいにちょこまかと……邪魔してんじゃねえぞ!」


「私から言わせればどっちも猿よ……バカみたいな喧嘩すんのは止めて。ああもう、頭いった! 何しに来たの? キング」


 蹴られた拍子にロッカーの角でしこたま頭を打ったレイラが、ようやく体勢を立て直して歩いてきていた。カインはキングに噛みつき、キングはカインを引っ搔いている最中であった。まさしく猿の喧嘩そのもの。


 急に恥ずかしくなった二人は車内から飛び出ると、お互いに顔をそむけた。


「レイラ。君の里親なら魔術師が保護した。今は国境を越えた所にいる」


「ハァ? 何、余計な事してんのよ」


「余計な事でもなんでもないよ。は僕の兄だろ」


 カインの表情がみるみるうちに青ざめてゆく。あの日の暴行を思い出した彼は嘔吐を我慢出来なかった。震えあがる屈辱くつじょくに呼吸が上手くできない。しばらく三人の間を重たい沈黙が流れた。


 覚悟を決めて一番先に口を開いたのは、キングであった。


「カイン、君がされた仕打ちは僕も散々受けてきた事だ。このまま大人しく犬を続けるのか?」


「うるせえ! お前なんかに分かるもんか、クソ死神!」


「――……分かるよ」


 胃液を吐いていたカインがかすむ目でキングを見ていた。確かに髪や斜視を除けば、ヨシュアとキングは合わせ鏡そのものと言えた。だがしかし、瞳の奥に宿る物がのそれとは真逆なのだ。


 ああ、そうか。

 カインはようやく理解していた。


 レイラと同じ地獄を見てきただけじゃない。同じように乗り越えてきた、そういう目をしているから無性に腹が立つんだ。俺にはまだ辿り着けないから。


 キングには父性と母性。その両方を感じさせる独特の雰囲気が備わっていた。


「兄の事は僕が必ず殺す。だからトロイの子たちを連れて逃げて欲しい」


「ちょっと待ってよ、キング。アンタそう言って学校を追われたばかりじゃない。信用なんて出来るわけないでしょ」


「いや……感情の問題だけじゃない。もっとロジカルな話なんだ。死神の取引は知ってるよね。死神は称号しょうごうを持つ者を殺害しない。そういう取引がされてるんだ。となると、必然的に殺意ある人間からも守らなくてはならなくなる」

 

「なんだそれ……」


「第一次産業革命の時に交わされた、最も古い取引だよ。確かにもちつもたれつでやるには一番合理的なやり方さ。死神にとって何より困るのは人類が滅ぶ事だ。人間側で人口を管理してもらった方がいい」


「管理する人間は守られてしかるべきだ、という双方の合意があるわけね。確かに、人類が滅亡したら死神も扶持ぶちがなくなる」


「その通りだよ、レイラ。死神には存在意義がなくなる。どちらかが滅んだら、もう片方も滅ぶようにプログラムされてるんじゃないかな」


「一体、誰がそんな事を仕組んだんだ」


「うーん……強いて言うなら神様?」


「おい死神。真面目に話してんだぞこっちは」


「君こそ僕に噛みつくの、いい加減やめて欲しいんだけど」


「もういい、どっちもどっちだから黙って」


 レイラにピシャリと言われてしまった二人は、口を尖らせて再びそっぽを向いた。


 カインはキングに嫉妬をしていた。それはもちろん男としてだ。しかしキングもまた嫉妬をしていた。姉を奪われたような感覚がどうにも拭えない。恋愛感情とはまた違う、甘酸っぱい思春期特有の痛み。


「アンタを信用するとは言えない。でも、犬はもっと嫌。これ以上、あの男とは仕事したくない。同じクズでも先代のの方がなんぼかマシだった」


 安堵のため息をついたキングが立ち上がった。口を結んでマントのほこりを払う。


 一方のカインは啞然あぜんとした表情でレイラを見つめていた。死ねと言われれば死ぬ。それ以外の選択肢など考えた事がなかったからだ。


 キングとレイラに訪れた再会以来の雪解け。二人は対照的な道を歩んできた。だがしかし、根っこにある想いは同じだ。だからこそキングはレイラを尊敬してきたのだ。


「決断してくれてありがとう、レイラ」


「死神のことわりから外れたアンタなら、何とか出来るって解釈で良いんでしょ。こっちも保険は掛けるけど。ところでさ……テロはどうすんの?」


「それなら僕に良い考えがある」


 



 30分後、連邦ビル地下駐車場で中規模の爆発が発生した。幸いにも事前に消防署へ通報があり、中にいた人々はビルから避難を済ませていた。死傷者、けが人共になし。


 消防署が鎮火後、犯人女性と思われる焼死体が発見された。身元、犯行声明、遺書等、全て不明。

 

 アルコール・たばこ・火器爆発物取締局(ATF)やサンディエゴ州警察の爆弾処理班が現場に出動して捜査を開始した。





 ーつづくー

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