異世界短歌 秋

枯葉散る聖なる巨木今や過去滅び朽ちゆく国を捨て去る

(滅んだ国を捨てた民

聖なる巨木が守護していたこの国も、度重なる戦争に次ぐ戦争で荒廃しきってしまった。

もはやこの国に未来はなく。ここにいても朽ちゆく国と心中するだけ。

私はこの国を出ようと思う。かつての聖なる巨木から落ちた枯葉を踏みしめ、私は出発した。

その先に何が待ってるのか、それはわからないが……

そんな私を、枯れた巨木が悲しげに見下ろしてる気がした。)


雨降りてキノコ顔出す山へ行き山神様のナベを頂く

(食いしん坊の信徒

雨が降った後は、この山は美味しいキノコが生えてくる。

僕はこのきのこが大好物で、この季節の雨の次の日は山に入る。

そして、僕の信仰する山の神様から賜ったナベでキノコナベを作るのだ。

そして、山神様と一緒に食べる。これがたまらない。

ああ、来年も秋にはこうして鍋を食べたいものだなぁ)


茜空北へと沈む太陽に故郷重ねて目を瞑る

(召喚勇者:佐藤

異世界に召喚されて、魔王を倒せと言われて出た旅の途中。

この世界では北に太陽が沈むのだが、その茜空が何とも美しかった。

異世界であっても、沈む方角は違っても、夕方の太陽は美しい。

その美しさと、故郷への想いから涙が出そうになり。

目を瞑り我慢した。まだ、涙を流すときじゃない。

そう思ったから。)

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