異世界短歌 夏

この日本水羊羹がない模様即ちここは並行世界

(並行世界の高校生:トオル

 俺は気が付いた。気が付いてしまった。今俺が立ってる世界は、昨日までの世界と微妙に違うと。

 何故なら、冷蔵庫の中に入れておいた水ようかんが存在しないのだ。

 いや、誰かが食べたとかそういう次元ではなく、「水ようかん」という概念自体がないのだ

 ああ、なんという事だ……異世界に来てしまうとは……

 普通、ファンタジーでドッカンバッコンな世界にいくでしょ!)


海賊の船吹き飛ばす水龍が意外に好むわが氷菓子

(水龍の妻として異世界に召喚されたOL:真理

 私は真理。水龍様の妻になれと異世界から召喚されたただのOL。

 チョーッとお菓子作りが趣味なだけの社会人なのに、いきなり異世界に召喚されて、

 誰とも分からぬ龍の奥さんになれだなんて……

 でも、住めば都とは誰が言ったか。結構満喫してます。

 私の夫は、海賊船すら消し飛ばすほどすごいけど。

 家ではただの氷菓子好きの男。そこが可愛い!)


山や野を駆ける我が妻俺を呼ぶ今は夏だぞ笑い倒れる

(人を妻としたスノーマン:ガイス

 私はガイス。野を駆ける元気な娘を妻にした。自分でもおかしな話だとは思うが、一目ぼれには敵わない。

 彼女の元気な姿は、俺には眩しすぎるほどで、とても健康的な娘だ。

 だが、困ったことに俺にも野を駆けろと言ってくる。

 まあ、冬ならいいのだが……夏に「一緒に走ろ!」なんて言ってくるものだから……

 まあ、倒れない程度に付き合っていたら、いつの間にか倒れていたよ。)

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