果ての村で俳句詠む

流星雨仄かに香る果乳香


(季語=流星雨【りゅうせいう】:冬

 最果ての村と呼ばれる場所に到着した時、私がまず目にしたのは天から降りそそそぐ光の雨。そして仄かに漂ってきたのは甘い乳と果実のような香り。村人に聞けば、ここでは冬のある時期になると、天に輝く星の魔力が結晶化し、輝いて雨のように大地に降るという。その結晶から漂う甘い香りを、果乳香と言うらしい。その光景を表した一句)




星の子や空海知りて福となす


(季語=空海【そらうみ】:夏

 最果ての村の住人は、なんと羽もないのに空が飛べる。なんでも昔、星の神から授かった力だという。そんな村では、5歳になるまでの子供を「星の子」と呼ぶ。そして、青く澄んだ海のような空、空海を夏に、5歳になった子供が初めて飛ぶことを縁起事としている。なるほど、確かに空を初めて飛ぶ子供たちは様々な輝ける表情をしていて、縁起がいい。その様子を詠んだ一句)




天を焼き魔を鎮めたる星樹光

(季語=星樹光【せいじゅこう】:新年

 ある年の事。年始に訪れた最果ての村。そこでは天が真っ青に燃えていた。青い炎が天を焼いているのだ。びっくりする私に、村人が笑いながら教えてくれたのは、この村から少し離れた場所にそびえる大樹、星樹が一年の終わりから始まりにかけて、天を魔法で焼き、一年で溜まった魔を焼いて鎮めてくれるという。なんとも豪快な年の始まりだと、驚きを込めて詠んでみた一句)

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