人魚の里にて俳句詠む

海夜空星の煌き蒼く降る


(季語=海夜空【うみよぞら】:春

春に人魚の里に行った時、友人がいい物を見せてやろうと海底のつき出た場所に連れて行ってくれた。そこから見上げる海底からの夜空の美しさと言ったら!まさに蒼く降り注ぐオーロラのようにも見えた。この光景を見られるのは、春の波が穏やかな時のみらしい。とてもいい経験をしたなと思った時に詠んだ一句)


果ての海リヴァイアサンの子至れる


(季語=リヴァイアサン【りヴぁいあさん】:夏

ある夏の事だった。友人と共に、果ての海と呼ばれる場所に冒険に行った時の事。小さな……といっても、ちょっとした砦くらいある……リヴァイアサンが一匹、ここに来ていた。何をしているのかと友人に問うと、リヴァイアサンの活動時期は夏。その頃にリヴァイアサンの子は一人立ちの意味を込めて、この果ての海に来るらしい。なるほど、これはリヴァイアサンの成人式なのか。そう思い詠んだ句)


月隠れ海王祭に沈む舟


(季語:海王祭【かいおうさい】:冬

ある冬の事。海の王様、海王を祭るお祭りが開かれた。その日に私も参加させてもらったのだが、この祭りは人生でも一番に驚いたかもしれないことがあった。その祭りでは演劇が催され、月を隠すように船を浮かばせると、その船を叩き折る様に、海王役の青年人魚が雷の魔法を発射するのだ。その音、派手さと言ったら、豪快の一言では片付けづらいほどにダイナミックだった。そして、この催しで祭りは終わるらしい。その時に沈み行く船を見て、祭りの終りを感じ詠んだ一句)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る