間章
#6 界隈
会社員、25歳女性。生涯独身というか推しが相手。副業というより趣味というより生き甲斐で、コスプレイヤー「nAzE」。そして今もっとも自身の重要視するステータスは、ニルプレイヤー「ナゼ」であること。
さて、いつものように風呂上がりの怠惰謳歌タイム。プルタブを引く。ファンがみたら絶対引くだろうが、見せないので構わない。
「まったく、なんだよ心配させやがって」
本当によかった。ニル世界はこれからも続くそうだ。あれだけ力のかかったプロジェクトなのだから、もとからサ終報道には懐疑的だったが。課金を吹っかけてきたことは驚いたが、あれだけのクオリティを見せられては黙って献上するしかないだろう。今は一つのゲームタイトルに100億相当の開発費をかける時代。この作品も会社が傾くほど相当の金額がかけられていることは間違いない。
インターネットは安堵とこみあげる愛であふれていた。nAzEのアカウントは副業というか収入的に考えても、もはや本業と呼べる。ビジネスボクっ娘で獲得したフォロワー一万人、まあまあな影響力。彼女がそこまで大きくなったのはやはり彼女がもちうる愛の力だった。今日もインターネットには、同志が集う。
nAzE@ニル集会8/11参戦 @nazedoushine
ニルちゃん、これからも生きてるって。ほんとによかった~! ボクも死ぬかと思った好き好き大好き!!!
[写真]
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リプ欄ではまた、愛が飛び交う。
なるべくして、nAzEはニルの話題の中心となっていた。
『よかったね! 本当に嬉しい!』うんうん。『うわ、オタクきも』はいはい、見ないふり。『運営め足元見やがって』あー、まあ気持ちは分かる。『どうして「そんなの」に大金払うんだよ』そうですか、さよなら。『次のアプデが楽しみ!』うんうん。
「おっ!」
流れてきたリンクから飛んだ先。闇に包まれていた開発者のインタビューが、ゲーム系の大手ネットメディアに掲載されていた。
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