第100話 えっこの巨大生物、デカ過ぎ?

 巨大な卵は深い森の奥にある山の麓で見つかったと聞いている。僕らは、その巨大な卵を目指して森の中を歩いていた。

 鬱蒼うっそうとしたジャングルだ。巨大生物が多いせいなのか、森の木々まで太くて生命力に溢れている。力強い植物たちだ。


 そんな生命力の溢れる森には初めて見る巨大生物が何種類かいた。

 まずは蛾のような巨大生物。穏やかな性格っぽく綺麗なのだが、撒き散らす鱗粉のせいで、鼻と喉がムズムズする。あと目が痒い。花粉症を思い出す。

 しかも蛾のような巨大生物は、結構たくさんいるので厄介だ。

 人間にとっては、鱗粉のせいで電子機器が壊れてしまうらしく、困った巨大生物だと聞いている。


 続いて森の賢者と言われる巨大フクロウ。ふっくらした身体に、つぶらな瞳でこちらを見ている。お持ち帰りしたいほど可愛い巨大生物だ。


 最後に、森といえばゴリラ。それっぽい影を見つけたので、やはりゴリラのような巨大生物はいるのかと思ったら、よく見るとゴリラというよりはオランウータンだ。今まで人間が観測した例はほとんどなく、幻と言われている巨大生物だ。


 僕らは、その巨大オランウータンに近づいてみた。


 ---------------話が出来そうな雰囲気があるね。


《はい。エビやヤドカリとは何か雰囲気が違いますね》


 僕らは、巨大オランウータンに向かって挨拶してみた。


『ゴガオオオン!』(こんにちは)


 今までは、どんな巨大生物へ挨拶しても、無視されるか威嚇と思われて攻撃されるだけだった。いかにも賢そうな巨大オランウータンの反応は、どうだろうか。


『キッキキーキー』(???)


 反応はあった。怒っている様子もない。

 実際のところ何を言っているのかサッパリ分からないが、ギリギリ会話と言っても良いのではないか。


 ---------------よし、巨大生物と初めて会話したということにしよう。


《記念になりますね》


 僕らは巨大オランウータンに尻尾を振って、その場を去った。巨大オランウータンは『なんだコイツ?』という顔をしていた。



 ◇



 色々な巨大生物に会いながら、僕らは巨大な卵を目指して森を進んだ。すると遠くの方から、もの凄い地響きが聞こえてきた。


 ドッスィィィンッ!!

 ズゴゴゴゴゴゴッ!!

 ズゴッズゴゴゴゴゴッ!!


 これは何の音だ?!

 

 周りにいた巨大生物たちは、地響きを聞いて何処かへ去ってしまった。これは、嫌な予感しかしない。


 ---------------何かがこちらに向かって来てるね。


《はい。とても大きそうです》


 ---------------この感じ、やっぱりアレだよね。


《はい。アレでしょうね》


 デルタ級の中でも最強と言われる巨大生物レッドソックス。ソーヴォイツ連邦が開発したメカレッドソックスの本家本元だ。冷却レーザー光線で凍らされた僕らにとってはトラウマしかない。

 あのソーヴォイツ連邦ですら、その力を恐れて戦いを避けたと言われている。そのレッドソックスが森の木々をなぎ倒しながら、僕らの目の前に姿を現した。


 極太4本脚で支える山のような巨躯。肩から生えた頑丈そうなツノのような突起物。複数本ある尻尾の先には、岩のようなゴツゴツとした球体が付いている。全身ベージュ色の中、4本脚だけが炎のような赤色でよく目立つ。


 これぞ巨大生物。デカいは力。デカいは正義。大艦巨砲主義。圧倒的な迫力で、見るからに強そうだ。


《これは凄く大っきいですね》


 ニノもあまりの大きさにびっくりしている。


 ---------------見た目だけで最強感があるよ。


 レッドソックスは歩みを止めず、ジリジリと僕らに近寄ってくる。


 ---------------やっぱり戦うことになるのかな?


《殺気は感じませんが、やる気はありそうです》


 ここは一度全力で戦ってお互いの力を認め合い、最強の強敵ともになるしか道はない。

 人類とは試練を乗り越えて、トモダチになった。お次は最強と言われる巨大生物レッドソックスと強敵ともになろう。


 僕らは巨大生物レッドソックスと一戦交えることにした。

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