第88話 モフモフと艦隊に囲まれて?
僕らはのんびりと泳ぎ続けて、久々のモフモフ島へ到着した。
いつものようにモフモフ島へ上陸すると、何故かメカパウンドが立っていた。なんだろう?
---------------メカパウンドがいる。なんだろうね?
《珍しいですね。挨拶しておきますか》
---------------そうだね。
何はともあれ挨拶だ。僕らはひとまず挨拶をしておいた。
『ゴガオオオン!』(こんにちは)
メカパウンドは丁寧に挨拶を返してきた。
『ゴガオオオン!』
普通だ。なぜここにいるのかは分からないが、挨拶も返してくれたし、突っ立っているだけなので、放っておくことにした。
というよりも、あまりメカパウンドに構ってはいられない。何故なら僕らが上陸したのを見つけたモフモフたちが走り寄ってきたからだ。モフモフたち、可愛すぎるだろう。
---------------走り寄ってきたよ。可愛いね。モフモフは忘れっぽいはずなのに嬉しいね。
《覚えていてくれたというよりは、珍しいからだと思いますよ。それも可愛いところですけど》
---------------ああ、そっか。珍しいから寄って来ただけか。通りでメカパウンドにも群がっているはずだ。
モフモフたちは突っ立っているメカパウンドにも、もの凄く群がっていた。メカパウンドに感情はないはずだが、少し嬉しそうに見える。
そうして僕らとメカパウンドは、モフモフたちに囲まれながら一緒に突っ立っていた。
しかし、そんな平和な時間はすぐに終わった。
モフモフ島に設置されたモニターにファイン少尉が映り、現在の状況などを色々と教えてもらった。知らない間に大変なことになっていた。
まず僕らは、ソーヴォイツ連邦という国に相当、恨まれている。
勝手に無人島へ上陸しただけでなく、潜水艦を沈めていたようだ。北極圏で聞こえた変な音は、岩が潜水艦にぶつかった音だったのか。
しかも僕らが恨まれているだけでなく、アルティア共和国とソーヴォイツ連邦の間で戦争が始まってしまうかもしれないとは、人類に相当ご迷惑をおかけしている。
もっともファイン少尉の口ぶりでは、アルティア共和国とソーヴォイツ連邦が手を組んで、僕らを殺しにくる可能性もありそうだった。ファイン少尉も軍隊に所属する人間だし、全てを喋ることはできないのだろう。明言はしなかった。そもそも一介の軍人が全てを知っているわけでもないだろうけど。
そしてソーヴォイツ連邦は、核ミサイルを発射することも辞さないとか言っているとのことだった。目標はこのモフモフ島。
僕らは、もの凄く動揺した。知らない無人島に上陸して怒られるどころの騒ぎではない。何なら忘れていてくれないかなとか思っていたが、甘過ぎた。
---------------た、た、大変なことになってる。
《ど、どうしましょうか? 私がセイウチと遊んでいたせいで》
ニノがとても不安そうな表情で、
---------------いや、ニノのせいではないと思うけど、困ったね。
ソーヴォイツ連邦もアルティア共和国にしても、政治的な思惑があって動いているはず。
僕らが今この状況で謝ったり、岩がぶつかったのは巨大セイウチのせいだと説明しても聞いてはもらえないだろう。世界を牛耳りたい超大国が、1匹の巨大生物の言い分を聞くとは思えない。残念だけれど、それが普通だ。
僕らが逃げてどこかに隠れても、アルティア共和国が保護しているとソーヴォイツ連邦が考えれば、超大国間での戦争になりそうだ。
かといって、この場にいたら僕らが殺されてしまいそう。これは過去最大のピンチかもしれない。
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