第87話 艦隊集結?
パウンドがバムダ諸島へ上陸する前、すでにソーヴォイツ連邦は、パウンドがバムダ諸島へ向かっている姿を捕捉していた。
パウンドが出現するであろう予測地点は、毛むくじゃらの巨大生物がいるバムダ諸島が大本命だった。そのため、バムダ諸島の周辺海域を重点的に警戒しており、捕捉は容易だった。
ソーヴォイツ連邦の主力艦隊である
大青洋艦隊の旗艦にはサルマーン海軍大将が乗艦し、そのサルマーン海軍大将へパウンドを補足したとの一報が入った。
「ついにパウンドが現れたか。それではパウンド抹殺作戦、状況を開始する。パウンドの上陸予測地点であるバムダ諸島へ向けて、全艦、移動を開始。アルティア共和国の領海ギリギリへ艦隊を展開させ、エメリャンコ大統領閣下の最終攻撃命令を待つ。総員の奮闘を期待する!」
パウンド捕捉の一報を聞いたサルマーン海軍大将が、パウンド抹殺作戦の開始を命令した。
サルマーン海軍大将の指揮する大青洋艦隊とは別に、ソーヴォイツ連邦のイバルコフ連邦軍総司令官は、自ら戦略級大型潜水艦へ乗艦し、単独で大青洋を航海していた。そのイバルコフ連邦軍総司令官へもパウンド捕捉の一報が入った。
「パウンドめ、やっと出てきたか。待ちわびたぞ。至急、本艦をバムダ諸島へ接近させろ。私自らが不敬なパウンドへ本艦の核ミサイルをぶち込んでやりたいからな」
ソーヴォイツ連邦の主力である大青洋艦隊とは別に、危険な思惑を持つイバルコフ連邦軍総司令官がバムダ諸島へと向う。
パウンド抹殺へ向けて、ソーヴォイツ連邦が動き出した。
◇
アルティア共和国でもバムダ諸島へ向かうパウンドの姿を補足していた。さらにそれに呼応するかのような動きを見せるソーヴォイツ連邦の大青洋艦隊についても状況を正確に把握していた。
アルティア共和国の正規軍は、ソーヴォイツ連邦に対抗するため、主力艦隊である第1空母打撃群をバムダ諸島へ配備。さらにその後方に第2空母打撃群を配備した。
アルティア共和国は、正規軍とは別に巨大生物防衛軍の艦隊もバムダ諸島へ派遣。主力となるメカパウンド3番機をバムダ諸島へ上陸、待機させた。
バムダ諸島へ派遣された巨大生物防衛軍の艦隊の一隻にノックス中尉とファイン少尉が乗艦していた。
2人はパウンドが現れたことで、ホッとしながらも心配していた。
「やっと
「ええ、ソーヴォイツ連邦の
パウンドへの理解が深いファイン少尉は、パウンドが姿を現さない理由を怪我だと推測していた。
「怪我をしたというのは、大いにあり得るな。だが
「そうですね、何か深い理由があったのかもしれませんね。ただ怪我をしていたとしても先ほど捉えた映像では、いつも通り元気そうに泳いでいたので一安心です」
さすがのファイン少尉でも、パウンドがその場を離れなかった理由が、氷上で調子に乗って滑って転んでいただけだとは思わなかった。
「ああ、のんびりと泳いでいたな。相変わらず呑気そうだったが、
「賢いようで抜けているところもあるので、気がついてないのではないでしょうか。大問題になっているとは思っていないでしょうね」
「そうだな、アルティア共和国とソーヴォイツ連邦の間で戦争の危機とは思うまい。戦争を回避するため、両国が手を取り合って
「そうですよね。抹殺されると気がついていれば、あんなにのんびりと泳いできませんよね」
「ああ、ソーヴォイツ連邦は核ミサイルの発射も辞さないと言っているのにな」
「はい。何とか戦争を回避して、パウンドさんも救いたいですね」
「ああ、そうだな。俺たちは出来ることをやるしかないが、俺はアルティア共和国も
「はい。頑張りましょう」
アルティア共和国は、バムダ諸島へ艦隊を接近させて、ソーヴォイツ連邦を牽制する。呑気に毛むくじゃらの巨大生物と戯れようとやってきたパウンドをよそに、周辺は緊迫した空気に包まれていった。
そんな中、パウンドはバムダ諸島へ上陸したのだった。
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