第81話 新型巨大兵器?

 ソーヴォイツ連邦領である無人島の近海に、戦略級の大型潜水艦が潜望鏡深度で待機していた。

 その大型潜水艦内のモニターには、パウンドが無人島へ上陸する姿が映し出され、パウンドの行動を複数の軍人が見守っていた。

 その中の1人にサルマーン海軍大将がいた。サルマーン海軍大将は自ら大型潜水艦に乗り込み、メカレッドソックスの指揮をとっていた。


 メカレッドソックスは既に無人島へ配備され、パウンドからの死角となる雪山の影に隠れている。大型潜水艦内でサルマーン海軍大将が、メカレッドソックスのオペレーターへ指示を出す。


「メカレッドソックスの設定は防御優先でいく。極力、パウンドからの攻撃を受けないようにしろ」


「はい。了解しました。防御を最優先で設定します」


 AIによる攻防自在の自律制御システムを搭載したメカレッドソックス。まずは防御を最大に優先、損傷させない方針で初陣させることになった。

 サルマーン海軍大将は指示を続ける。


「メインウェポンのレーザー冷却砲、……いや、ダイヤモンドダスト砲の出力は50%に設定。今回は試運転で良い」


「はい。了解しました。レーザー……ダイヤモンドダスト砲の出力を50%に設定、完了です」


「よし、パウンドが海へ逃げられないよう出来るだけ島の中央まで引きつけたあと、攻撃開始だ」


 サルマーン海軍大将らが見守る中、パウンドは上陸後、のそのそとおぼつかない足取りで島の中央へ向かい歩いていた。

 メカレッドソックスは雪山の影に待機して、パウンドへの攻撃チャンスを伺っている。


 大型潜水艦内に緊迫感が漂う。サルマーン海軍大将らはモニター越しに、パウンドの一挙手一投足を見守っている。そんな中、パウンドは氷に滑って、ひっくり返り返った。

 ソーヴォイツ連邦の新兵器メカレッドソックスの初陣に、絶好のチャンスが訪れた。


「パウンドのヤツめ、氷で滑って転んだぞ! しかも滑って立ち上がれないとは! 這いながらわざわざメカレッドソックスの方へ向かってくるではないか! 今がチャンスだ。攻撃を開始しろ!」


 サルマーン海軍大将が満を持して、攻撃開始の命令を出した。



 ◇



 僕らが雪山へ向けて前進していると、その雪山の影からキラキラと輝く巨大な物体が姿を現した。

 ん?! 4本脚の機械メカ?!


 ---------------えっ、何アレ?


《キラキラしてますね》


 メカパウンドよりも大きな機械メカだ。初めて見るが何だろう?

 もしかして、この無人島はアルティア共和国でもジャピア王国の領土でもなかったのか。

 すっかりどちらかの領土だろうと思って、油断していた。


 ---------------うーん、ひとまず挨拶してみよう。


《はい》


 ここがどこの国だか分からないが、巨大な4本脚の機械メカに向かって、いつもの挨拶をしてみる。


『ゴガオオオン!』(こんにちは)


 もしかしたら僕らは全世界で人気者かもしれないと期待するが、どうだろうか。僕らは立ち上がれないので、うつ伏せの状態のまま巨大な4本脚の機械メカを凝視する。


 全く無反応だ。意外と人気者かもしれないなどと思ってしまったが、どうやら自惚れのようだ。

 とても嫌な予感がしてきた。


 ---------------マズい気がしてきたよ。


《はい。そうですね》


 ---------------この状態で攻撃されたら、どうしようもないね。


《そうですね》


 ---------------いきなり攻撃してくるなんてことはないと思うけど。


 無人島だし人間に危害を与えたわけでもないので、攻撃されることはないだろう。そう思ったのだが、甘かった。


 ズガアアアアアアン!


 痛い! いきなり超早いミサイルで攻撃された。音速ミサイル?!

 誰だか知らないが、喧嘩っ早い国だ。


 ---------------痛っ! これはヤバい!


《!! 早く立ち上がらないといけませんね》


 僕らは焦って立ち上がろうとするが、ただ滑って転ぶだけ。

 戦う以前の問題だ。


 その時、4本脚の機械メカの肩に装着された筒型の装置がキラキラと輝き出した。

 アレは何だろう?! 綺麗だけれど絶対ヤバい!!

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