第74話 未知への恐怖心?
ソーヴォイツ連邦大統領府。
エメリスキー大統領の元にソーヴォイツ連邦軍総司令部の面々が険しい表情で集結した。
ソーヴォイツ連邦が、敵性国家であるアルティア共和国の手先と認識している巨大生物パウンド。そのパウンドがソーヴォイツ連邦の領海に何度も接近しているという現実があるためだ。
「大統領閣下、最近の巨大生物パウンドの行動に異変が見られるため、ご報告にあがりました」
イバルコフ連邦軍総司令官が緊張の面持ちで、エメリスキー大統領へ報告を始めた。イバルコフ連邦軍総司令官の報告内容は。
「最近のパウンドは、棲家があると思われる
イバルコフ連邦軍総司令官は、連邦軍総司令部の推測をエメリスキー大統領へ報告した。
「なに? ジャピア王国が攻撃準備だと? 憲法により自国の軍隊を使って侵略できないから、巨大生物を使おうというつもりか。
エメリスキー大統領が見解を述べる。
「はい。この行動が我が国を攻撃する準備段階であれば、ジャピア王国の独断とは考えられませんので、背後にはアルティア共和国がいることは間違いありません。ただ気になることもあります」
「なんだ、どうした?」
「はい。ジャピア王国は、パウンドに対して陸地への接近を許しているにも関わらず、陸地から離れたあとになって毎回ミサイル攻撃を仕掛けています。ジャピア王国がパウンドを使って我が国を攻撃しようと考えいるのであれば、なぜジャピア王国はパウンドへミサイル攻撃をするのか不可解であります」
ソーヴォイツ連邦軍総司令部は、ジャピア王国とパウンドの関係性に疑問もあった。
「確かにな。アルティア共和国とジャピア王国、それに巨大生物パウンド。ヤツらは一体何を考えているのか。いずれにせよ、この厄介な状況を作り出している元凶はパウンドだ。パウンドさえいなくなれば、アルティア共和国、ジャピア王国とも元の軍事バランスに戻る。早急にパウンド抹殺計画を進めるしかあるまい」
パウンドの異様な行動により、ソーヴォイツ連邦は、ますます得体の知れない恐怖を感じていた。
◇
僕らは、ジャピア王国で開催されるイベントへの顔出しも終わり、周辺海域で光る巨大な卵が見つかる気配もないので、北極圏へ向かうことにした。
僕らはジャピア王国を離れて、ズンズンと北へ向かう。
---------------ずいぶん北に来たね。もう北極圏に入ったのかな。
《そうですね。少し冷んやりしてきましたね》
大きな良い感じの無人島があったので上陸してみた。たまには陸地に上がりたい。
北極圏に来た僕らは思いの外、冷んやりと寒さを感じていた。暑くても余裕だから、寒いのも余裕だろうと思ったが、そうでもなかった。
僕らは、そこからさらに北に進み、海面に氷山が漂う海を泳いで行く。
---------------ますます寒くなってきたね。海面に出した顔が冷たいね。
《はい。こんなに寒いとは思いませんでした》
真冬の朝、自転車に乗っているかのように顔が冷たい。
猛吹雪を受けて顔がヒリヒリとする。氷点下はダメだ。
頑張って顔を出して光る巨大な卵を探すのだが、氷と雪の白さのせいで、白く光る巨大な卵があったとしても見つけられる気がしない。
---------------猛吹雪で顔が寒いから、海底へ行こうか。
《はい。そうしましょう》
深海に潜ればどこでも同じような海水温なので、ほっと一息。
そう思ったのだが、僕らを追いかけて、海面から何か巨大な物体がせまってきた。
アザラシ? いや、違う。長い牙を持つセイウチのような巨大生物だ。僕らよりもさらに大きい。
その巨大セイウチが何故か僕らを追いかけてきた。
---------------デカい! 怖っ!
《大きいですね》
バカみたいな大きさの巨大セイウチが、僕らに向かって、凄い勢いで迫ってくる。
怖い! 怖い! 怖い!
巨大セイウチは、僕らを一体どうする気なんだ?!
巨大セイウチは僕らに近寄って来たと思ったら、巨大な顔を擦り寄せてきた。その顔をよく見てみると、ブサ可愛い。目がくりくりしていて、愛嬌がある。とても人懐っこい。まあ僕らは人ではないけども。
巨大セイウチが戯れてくる。微笑ましい異種生物同士の交流と言っても良いのだが、現実は巨大生物の中でもヘビー級同士がぶつかりあっている。見た目は全く可愛くない。
しばらくの間、巨大セイウチに付き纏われたが、いい加減に離れてもらった。
《可愛いセイウチでしたね》
---------------あ、うん。そうだね。
ニノは初めて見る巨大セイウチをとても気に入っていた。
そんな巨大セイウチに付き纏われた北極圏。普通に考えて、僕らの同族の卵が氷山にあるとも思えないので、その後は海底だけを探すことにした。
北極圏での滞在中、食事は美味しい巨大タラバガニ。巨大タラバガニを食べながら、光る巨大な卵を探したけれど、どこにも見つけることは出来なかった。
北極圏に続いて、僕らが住む大青洋の裏側となる
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