第69話 第2部ダイジェスト版?(後編)
僕らは暗黒8本首に敗北した。そして、その後の記憶がない。長い間、眠っていたかのようだ。
僕は目が覚めると、白く光り輝く空間にいた。ここがどこだか分からないので、ニノに尋ねる。
---------------ずいぶんと眩しいけど、ここが何処かわかる?
《卵みたいなところです。進化が終わりました》
---------------えっ、進化してたの?! 死にそうになったから?
《そうです。もう負けませんよ!》
僕らは暗黒8本首に敗北したことをキッカケに進化した。
僕らは進化により、陸上での能力が大幅にアップした。進化前はもっさりした動きだったが、身体全体のバランスが良くなったことにより、きびきびした動きが可能になった。
僕らが海面に顔を出すと、ファイン少尉が艦船の上で待っていた。僕らはファイン少尉から現状を聞き、南山島奪還作戦に参加すべく南山島へ急行する。
進化した僕らは、南山島で暗黒8本首と対峙する。相手が1匹ならともかく、2匹に増えている。勝負の行方は分からない。
そう思ったのだが、僕らは想像以上に強くなっていた。
さらに僕らの味方に、僕らを模した
その間に、僕らはもう1匹の暗黒8本首の相手をする。初戦では大苦戦した暗黒8本首の火球攻撃。素早く動けるようになった僕らは、火球をかわす。僕らはツノ攻撃、尻尾の炎で暗黒8本首を消滅させる。前回のように復活されることのないよう念入り消し去った。
続く2匹目の暗黒8本首は、僕らとメカパウンドとの連携による攻撃で、さらに余裕の戦いだ。僕らは2匹目の暗黒8本首も消滅させて、2匹の暗黒8本首という難敵に快勝した。
暗黒8本首を倒して南山島に残る巨大生物は、暗黒オタマジャクシの大群のみとなった。その暗黒オタマジャクシの大群も、僕らとメカパウンドが一掃し、南山島を奪還することに成功した。
ついに長かった暗黒オタマジャクシと暗黒8本首との戦いの火蓋は閉じられた。
◇
暗黒ヤドカリや暗黒8本首が出現する以前にも、黒い瘴気を放つ巨大生物はアルティア共和国を襲っていた。僕らがいないとき、人間はどうやって対応していたのだろう。
そんな疑問に答えるように、過去、黒い瘴気を放つ巨大生物が出現した時に現れたという不思議な少女の話を、ファイン少尉が語ってくれた。
現在、写真に残っているアルティア共和国を襲ったという巨大生物の姿は、僕らに似ていた。不思議な少女の姿は、ニノに似ていた。
……巨大生物へ話しかける不思議な少女がいる。その少女の名はメイという。
メイはお気に入りの海岸にいた。そこに現れた巨大エビへ、メイは海へ戻るようにと話しかける。弱い巨大生物が軍隊に見つかると危険だからだ。するとメイの話が分かったかのように、巨大エビは海へと戻る。
その不思議な様子を見ていた防衛隊の女性隊員がメイへ要請し、メイは巨大生物が街へ近づかないよう防衛隊へ協力することとなる。
メイは街へ近づく巨大生物へ話しかけて、何匹もの巨大生物を街から遠ざけた。
そんな時、アルティア共和国に災厄とも言える巨大生物が現れた。
丈夫そうな黒っぽい表皮に頭部には3本のツノ。口は大きく裂けている。長い尻尾があり全長は100mを超えている。
そして、その巨大生物は全身から黒い瘴気を発していた。
黒い瘴気を放つ巨大生物は、アルティア共和国を強襲した。アルティア共和国の軍隊が迎撃するものの、歯が立たない。アルティア共和国は黒い瘴気を放つ巨大生物に、なす術もなく蹂躙された。
その状況に我慢できなくなったメイは防衛隊へ懇願し、黒い瘴気を放つ巨大生物へ立ち向かう。メイは黒い瘴気を放つ巨大生物へ言葉をかける。メイは自分なら黒い瘴気を放つ巨大生物を抑えることが出来ると思ったからだ。
メイの言葉に反応して、巨大生物から黒い瘴気が消えていく。黒い瘴気の消えた巨大生物は、メイと共に白いモヤに包まれ、そのまま海中へと消えていった。そして二度と、その姿を人類の前に見せることはなかった。
黒い瘴気を放つ巨大生物と共に消えた少女メイ。
巨大生物と話が出来る少女の奇跡として、防衛隊のレポートにのみ記された。
ファイン少尉の語りを聞いて、消えた巨大生物は僕らで、少女メイを取り込んで進化した結果、第二の脳であるニノになったのではないか、僕はそんなことを思った。しかし当のニノは、全くピンときていなかった。真相はよく分からない。
◇
暗黒8本首を倒したあとの僕らは、のんびり平和に過ごしていた。
そんなある日、僕らは暗黒8本首を倒したジャピア王国の小高い丘にいた。
小高い丘から見える街並みは、僕が前世で住んでいたアパートの窓から見える景色と少し似ていた。
僕が昔を思い出して物思いに耽っていると、ニノが敏感に気がついた。
《帰りたくなりましたか?》
ニノに問われてドキッとする。
---------------うーん、全く帰りたくないと言ったら嘘になるかな。
《そうですか》
ニノは夕暮れの街並みを眺めながら、寂しそうに答える。
---------------ニノはこの世界で同じ種族がいなくて寂しくはないの?
《えっ? 第一の脳〈あるじ〉がいるのに寂しくはないですよ》
ニノはこちらを向いて少し驚いたように答える。ニノはすぐに穏やかな表情に戻り、真っ直ぐにこちらを見つめている。
少しセンチメンタルになってしまったが、今の僕にはニノがいる。そしてニノには僕がいる。
目の前でこちらを見つめるニノはとても可愛い。僕の理想である銀髪の美少女だ。
---------------まあいっか。ニノ、可愛いし。
《‥‥‥何度も言いますけど、この姿は第一の脳〈あるじ〉の想像ですよ? それから第一の脳〈あるじ〉もカッコいいですよ》
---------------えっ?! 僕の姿あったの?!
《はい。ありますよ。私の想像ですけど》
ニノはそう言って、
〜あとがき〜
続いて第3部となります。引き続きお読み頂けると嬉しいです。
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