第63話 別荘探し?

 暗黒オタマジャクシや暗黒8本首の出現からジャピア王国に行く機会も多くなり、僕らはその度に適当な場所を探しては野宿をしていた。野生の巨大生物なので野宿が普通ではあるのだが、どうにも落ち着かないなと思っていた。


 ---------------ねぇ、ニノ。ジャピア王国の近海で別荘を探すのはどうかな?


《えっ、別荘ですか》


 ---------------落ち着く居場所を作るのも良いかなって。


《良いですよ、探しましょう》


 ニノはあまり寝床に拘りはなさそうだったが、OKしてくれた。


《どの辺が良いでしょうね?》


 ---------------南山島の南かなぁ。


《ではその辺りの深い場所に行ってみましょう》


 僕らはジャピア王国の南に伸びる海溝へと向かった。


 ---------------あんまり人間の来ない静かな場所がいいね。


《そうですね。あと美味しい食べ物がいるところが良いです》


 僕らは今まで近寄ったことのない海溝のかなり深い場所にきた。


 ---------------あれは? カニ型? でも、いつもの片方だけハサミが大きいヤツじゃないね。


《そうですね。今まで行ったことのある場所にはいなかったですね》


 僕らは見たことのない巨大ガニを発見した。

 アルティア共和国周辺いる巨大ガニはシオマネキのような形状だったが、ここら辺にいる巨大ガニはタラバガニのような形状だ。


 --------------美味しそうな予感がするよ。


《しますね。いただきましょうよ》


 さっそく襲って食べてみた。


 ---------------程よい甘みがあって美味しいね。


《美味しい! 美味しいですね!》


 テンションの高いニノが可愛い。大絶賛している。ジャピア王国産巨大ガニは美味い。美味しい食糧が確保できるこの辺りに別荘を作ることが出来る場所があれば最高だ。

 そう思いながら、しばらくの間、収まりのよさそうな窪地を探していると海水がとても温かい場所を発見した。


 ---------------あれ、この辺り温かいね。


《気持ちいいですね》


 ---------------これは海底温泉!


 この辺りも火山活動が活発なのだろうか。熱水噴出孔がたくさんあって海水が温かい。温水に浸ると日々の疲れが取れる気がする。


 ---------------これいいね。


《はい。癒されますね》


 周辺を探ってみるが、近くにちょうど良い窪地がないため、自力で穴を掘ることにした。第一のへの振動が半端ないツノでの穴掘り。なるべくなら避けたいのが背に腹はかえられない。


 ---------------この小さな窪みを広げて大きな穴を掘ろう。


《はい、そうしましょう。海底での穴掘り、久しぶりですね》


 ニノは嬉しそうに穴掘りを始める。


 ガシッ! ガシッ! ドガガガガ!


 前回同様に凄い勢いで頭部にある3本のツノを岩場にぶち込んでいく。

 やはり怖い! そして今回も頭が揺れ過ぎて気持ち悪くなってきた頃、やっと動きが止まった。


「穴掘り、終わりました」


 ニノは満足そうに報告してきた。


 ---------------お疲れさま、ありがとう。


 そんなこんなで収まりのよい寝床が完成し、僕らは巨大タラバガニ食べ放題&温泉付きの別荘を手に入れた。

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