第62話 SAKEミサイル開発秘話?
モフモフ島でのんびりしていると、ノックス中尉がやってきた。
「
SAKEミサイルの実験台?!
ノックス中尉は何を言っているんだ。これは酷い。
【実験台ですか】
僕らは頭をだらんと下げ、尻尾の先まで力を抜き、全身を使って嫌そうに返事をした。
ノックス中尉に嫌そうなのが伝わった。
「
【そうなんですか】
「ああ、どの酒が一番、眠る効果があるかを確認したいんだ。まあ飲み比べみたいなものだと思ってくれ。酒は嫌いではないだろう?」
確かに嫌いではない。むしろ飲みたい。
--------------ニノ、どうかな? 僕は良いと思うけど。
僕は一瞬で手のひら返しをしてニノに尋ねた。
《凄く飲みたそうですね。良いですよ》
ニノは酒があまり好きではない。
すぐに寝てしまっただけだし、気持ちは分かる。
しかし、僕があまりに飲みたそうなのでOKしてくれた。
ニノは優しい。
【実験台やりましょう!】
ノックス中尉に返事をして、翌日からSAKEミサイルの実験が始まった。
酒はどうやって供給されるのかと思ったら、普通にミサイルだった。ノックス中尉によると弾頭部分に酒が入っていて、爆薬はないから大丈夫だとのことだった。
しかし、グラスの代わりにミサイルというのは、どうなのだろうか。いくら巨大生物とはいえ、虐待ではないだろうか。疑問ではある。
1発目はウイスキー。最高のシングルモルト。
2発目はビール。喉ごし最高。
3発目はワイン。10年に一度の美味さ。
4発目はジャピア酒。スッキリ辛口。
1日1発ずつ飲み比べ、そして5発目。
『ブボッ! ゴブボッ!』
なにこれ、不味い。飲み込まずに自然と吐き出していた。
【これは?】
「工業用アルコールはダメか」
工業用アルコールだったのか。不味かった。
◇
「よし、結果が出たな。工業用アルコールは吐き出して飲まなかったので効果なし。結局、何を飲もうが、全てすぐに寝たわけだな」
ノックス中尉がファイン少尉に確認をする。
「そういうことになりますね。あとは兵器開発部に任せるだけですね」
「兵器開発部、SAKEミサイル担当はレーン博士だったな」
「そうですね。レーン博士に任せると巨大生物が好む美味い酒を作り始めそうですけど」
「そうだな。常に愛とロマンを追い求めているからな」
新兵器SAKEミサイル。
その後、8本首の巨大生物との決戦に向けて開発が急がれ、その決戦にて初めて使用されることになる。8本首の巨大生物には効果がなかったが、それ以外の巨大生物には効果が認められたのだった。
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