第55話 解散総選挙?
僕らはモニターでニュースを見ていると、ジャピア王国の特集が始まった。何やら国会で揉めているようだ。
「ジャピア王国の国会では、南山島の対応を巡り、与野党で論戦が繰り広げられてきました。そしてこの度、野党の追求により、内閣不信任決議が可決、与党はそれを受けて国会を解散。総選挙の運びとなりました」
解散総選挙か。また応援演説とか頼まれるのかな。
--------------ニノ、ジャピア王国で選挙だって。また応援演説を頼まれるかもね。
《そうですね。前のは楽しかったですよね》
---------------ボワットモワ大統領みたいな人なら応援したいね。
《はい。ああいう人間なら良いですね》
そんな話をしていた数日後。
ファイン少尉を通してジャピア王国の大物政治家からコンタクトがあった。
応援演説かと思ったが、そうではなかった。
コンタクトしてきた大物政治家は、新党『巨大生物を応援する党』、通称『巨応党』を結成したらしい。
そして、なんと僕らにタレント議員枠で立候補して欲しいと言ってきた。
何を考えているのだろうか。
詳しく聞くと、ジャピア王国の国籍を取れば法律上いけるらしい。
法律には『ジャピア王国の国民』との記載があるだけで人間に限定はしていないという解釈だ。
いや、人間ということが当たり前のこと過ぎて記載がないだけだろう。いくらなんでも巨大生物が国会議員に相応しいとは思えない。
ちなみにデカ過ぎて国会議事堂に入れず出席できないという問題は、リモート参加で解決するつもりらしい。すでにリモート参加を使った国会議員もいるそうだ。
いや、出席できないというか、僕らは国会議事堂を破壊する側になってもおかしくない。むしろ、そっちの方が似合っている。
万が一、僕らが首相になって、僕らがジャピア王国を襲ったら、僕らが僕らに迎撃命令を出すのだろうか。
【無理がないですか】
「そうですよね」
僕らに寛大なファイン少尉ですら無理があると思ったようだ。
巨大生物を応援してくれるのはとても嬉しいが、僕らは立候補を丁重にお断りした。
《人間はもっと賢いと思ってました》
---------------ニノだってそう思うよね。国民の代表のはずなんだけどね。
僕らはジャピア王国の行く末が心配になった。
◇
----------------選挙結果はどうなったかな。
モニターでニュースを見ていると、ジャピア王国の選挙結果が伝えられた。
「新党の『巨大生物を応援する党』が大躍進。野党第一党となりました」
マジか、あの怪しげな新党が野党第一党になるとは驚きだ。ジャピア王国は本当に大丈夫なのだろうか。
「党首のジンシロウ氏はこの結果を受けて、次のように述べています。『まずこの大勝利の選挙結果に感動した。我が国は世界中で特に多くの巨大生物被害が発生している。党として被害者への補償はもちろんだが、それと共に巨大生物を理解し共栄できる国を目指し政策に反映していきたい。期待して下さい』」
---------------あれ? 僕らを議員にしようとするヤバい人かと思ったけど、もしかして凄い人なのかな。
《良い人な気がしてきましたね》
ジャピア王国の行く末。心配もあるが、期待したい。
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