第48話 戦いを終えて?

 暗黒8本首、暗黒オタマジャクシがいなくなった南山島。僕らは暗黒8本首を倒した小高い丘に戻ってきた。念のため暗黒8本首が復活しないかを確認するためだ。


 ---------------ニノから見ても大丈夫だよね?


《大丈夫だと思います。何も感じません》


 小高い丘にはファイン少尉、ノックス中尉に加えて、ジャピア王国からツムギ少尉とナオト少尉の2人が来ていた。

 ジャピア王国のツムギ少尉とナオト少尉。以前は僕らをとても怖がり、全く近寄ってこなかったのだが、ファイン少尉に促されて話をするようになり、今では全く怖がる様子はない。ジャピア王国にも話が出来る人が出来て、とても嬉しい。

 ツムギ少尉とナオト少尉という凄く怖がる2人を見て思ったのだが、最初から僕らを恐れていなかったファイン少尉は何者なんだ。

 

 そんなわけで、怖がらずに話をしてくるようになったツムギ少尉が僕らに向かってアルティア共和国語で質問してくる。


「パウンドさん、8本首の復活はありそうですか?」


【感じられません】


 僕らはツノモールスで返事をする。倒してから1ヶ月も経っているので、さすがにもう大丈夫だろう。


「ここら辺一帯、パウンドさんの活躍を記念して国立公園になる計画がありますよ」


 ナオト少尉が爽やかな笑顔で僕らへ伝えてくれた。

 僕らを記念した国立公園?! そんな大袈裟な。


相棒パウンド、良かったな!」

「パウンドさん、凄いですね!」


 ノックス中尉とファイン少尉も嬉しそうに声をかけてくれる。


 ---------------ニノ、嬉しいね。


《はい。とっても嬉しいです》


 死にそうというか、ほぼ死んだような気もするけれど、ジャピア王国から暗黒巨大生物がいなくなって本当に良かった。みんな褒めてくれたけど、暗黒巨大生物によって甚大な被害が出てしまった事実はある。もっと何とか出来なかったのかなとも思ってしまう。





 ジャピア王国での8本首戦役を終えて、僕らは最初の棲家である海の底に掘った横穴に戻ってきた。ツノでガシガシと掘った横穴だ。ここに来るのは久しぶりで、とても懐かしく実家に帰ってきたような気分になる。


 ---------------ここでじっくり休養しよう。


《ここが一番早く体力が回復できますね》


 さすがのニノもジャピア王国での出来事は疲れたようで、グッタリしていた。


 ---------------何か食べる?


《そうですねぇ》


 食いしん坊のニノだが、久しぶりの棲家にホッとして全く動きたくないようだった。

 それほどまでニノはジャピア王国でも人間のために頑張った。僕と違って元から巨大生物の脳のはずなのに何でだろう。少し不思議なぐらいだ。


  その日の夜、久しぶりにレム睡眠が発生した。


 ---------------レム睡眠きた!


 ニノはスヤスヤとよく寝ている。ニノはいつも飄々ひょうひょうとして大変そうには見えないけれど、やはり実際は凄く疲れているのだろう。


 ---------------マッサージでもしてあげたいな。


 僕は独り言を呟いた。


《‥‥‥嫌です》


 ?! 寝ていると思ったニノに返事をされて、僕は動揺した。


 ---------------あっ、ごめんね。別に変な意味じゃないよ! 純粋! 純粋な気持ちで言っただけだから!


 僕は何を言い訳しているのだろうか。


《‥‥‥お願いします‥‥‥》


 ?! ニノ、お願いしますって何?!

 やっぱりマッサージして欲しいのかな。でも触れないんだよね。


 ---------------えっ、でも触れないし。


《‥‥‥ヘビは嫌です。エビをお願いします‥‥‥》


 何の夢を見ているのか分からないが、どうやら寝言のようだ。

 第二のニノの寝言に動揺させられる第一のとは一体何なのか。


 そんな感じでニノは寝言を言いながら僕の目の前で無防備に寝ているわけだが、イメージなので触れることなどできるわけない。そして、最初は純粋な気持ちでマッサージをしてあげたいなと思ったのだが、今は純粋な気持ちが減っている気がする。これはいけない。

 可愛い寝顔を見ながら僕もさっさと寝るとしよう。


 ---------------ニノ、ジャピア王国で頑張ってくれてありがとう。お疲れさま。







〜あとがき〜

 暗黒巨大生物との戦いが終わりました。ここまでお読みいただきありがとうございます。続きを読んでもいいかなと思って頂けましたらフォローを貰えると嬉しいです。またハートやお星様を貰えると執筆の励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。


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