第47話 今度こそ決着?

 1匹目の暗黒8本首を倒して、目の前には焦げた地面が広がっている。黒いモヤのようなものは何も見えない。これなら前回のように復活されることはないだろう。

 2匹目に向かうために振り向くと、メカパウンド1番機と2番機が遠距離から暗黒8本首とやりあっている。真っ正面からぶつかるのではなく、時間稼ぎという戦い方。どうやら僕らを待っているようだ。


 ---------------よし、次に行こう。


《はい。行きましょう!》


 2匹目の暗黒8本首との戦いを開始する。

 暗黒8本首は僕らに向かって噛みつき攻撃を仕掛けてくる。上空のドローン隊は、その動きを見逃さない。暗黒8本首が大きな口を開くと同時にメカパウンドの放つレールガンが的確に炸裂する。

 少し離れた位置から、全てを見切っているかのような動きをするメカパウンドが援護射撃をしてくれるので、1匹目よりもさらに余裕の戦いだ。

 メカパウンドのサポートにより、僕らは暗黒8本首からの攻撃を受けることもなくツノを突き刺し、尻尾の炎を浴びせかけ、一方的に攻撃する。

 暗黒8本首は、僕らとメカパウンドに挟み撃ちにされて、なす術もない。


 ----------------これで最後だ!


《はい!》


 暗黒8本首に僕らはツノを突き立て突進する。


「キッシャアァァァァ‥‥‥」


 暗黒8本首は断末魔をあげて動かなくなる。ここからミンチにするわけだが、少々グロい。


 ---------------ところでニノはグロいのは平気なの?


《あまり気になりませんね。普通ですよ》


 見た目の割に逞しい。もっとも見た目は僕のイメージから生まれたのだが。

 さっそく倒れた暗黒8本首を念入りに粉砕、ミンチにしてから尻尾の炎で焼き尽くす。最後の1匹も跡形もなく消し炭にして、暗黒8本首を完全に消滅させた。リベンジ大成功だ。


 僕らは結局、あれだけ苦戦した暗黒8本首を圧倒した。これなら進化についてニノが自信を持つのも納得だ。


 ---------------進化とメカパウンドのおかげもあって楽に終わったね。


《はい! 上手くいって良かったです》


 ニノがこちらを向いて笑顔で答える。ニノも上出来の結果に嬉しそうだ。


 進化した僕らとメカパウンドの共闘により、ジャピア王国の南山島を壊滅させた暗黒8本首に勝利した。

 しかし、まだ南山島には、数多くの暗黒オタマジャクシが生息している。その暗黒オタマジャクシを駆除すべく、メカパウンド1番機を中心としたアルティア共和国軍とメカパウンド2番機を中心としたジャピア王国軍の連合軍による暗黒オタマジャクシの掃討作戦が開始される。

 僕らも掃討作戦に協力して島中を歩きながら、暗黒オタマジャクシを倒すこととなった。



 ◇



 僕らは指定された地域にいる暗黒オタマジャクシを倒しながら歩いていた。

 僕らの担当は海沿いだ。そのためいつでも海中へ潜り、休憩することができる。沿岸には、ノックス中尉とファイン少尉の乗艦する洋上艦が待機している。連絡体制も万全だ。

 そうして、洋上艦のノックス中尉とファイン少尉と連携しつつ、南山島をグルリと一周する計画だ。


 人間がいない南山島。暗黒オタマジャクシが好き勝手に生息している。


 ---------------あの辺、黒いよ。いそうだね。


《いますね。やっつけましょう》


 黒いモヤが出ているので、日中なら見つけやすい。

 上空のヘリ部隊からも、生息場所の指示が続々とくる。


 ---------------指示されたのはアレか。これは大変だね。一体何匹いるんだ。


《そうですね。多すぎですね》


 僕らは大量の暗黒オタマジャクシをせっせと倒す。ひどく破壊されてしまった街もあるが、ほぼ無傷の街も数多くある。少しだけ安心した。


 大量の暗黒オタマジャクシを倒し続けるのは大変だった。その中で不謹慎ではあるが、楽しみもあるにはあった。ジャピア王国の色々な風景を見られることだ。

 南山島の観光名所の一つスカイタワー。僕らより遥かに高い鉄塔だ。


《何故か倒したくなりますね》


 ---------------えっ、ダメだよ。


《わかってますよ》


 巨大生物の本能だろうか。自分より大きいと倒したくなるようだ。

 続いてクマモモン城。石垣が立派なカッコいい建造物だ。


《何故か破壊したくなるシルエットですね》


 --------------だからダメだって。


《わかってますよ》


 そうして多少は緊張感のない会話もしていたが、頑張って南山島を一周し、暗黒オタマジャクシを倒しきった。

 ちなみに暗黒オタマジャクシの撃破数は、1位メカパウンド2番機、2位メカパウンド1番機、3位に僕ら。頑張ったけど、移動が遅くてダメだった。


 海中にいた暗黒オタマジャクシも倒し尽くし、周辺海域を含めて暗黒オタマジャクシの姿は見えなくなった。海中の暗黒オタマジャクシの数が少なく不思議に思いファイン少尉に聞いてみたところ、カメ型の巨大生物がコツコツと倒していたと教えてくれた。カメ型、凄いな。


 そうして、ついに暗黒8本首と暗黒オタマジャクシに占領されていた南山島を奪還した。長かった暗黒8本首と暗黒オタマジャクシとの戦い、僕らと人間の勝利で、その火蓋は閉じられた。





 暗黒ヤドカリ、暗黒オタマジャクシ、暗黒8本首。僕らは、この世界に現れた黒い瘴気を放つ巨大生物を撃破した。僕らがいなければ、これらの黒い瘴気を放つ巨大生物に対して、人間はどう対処していたのだろう。


 僕が転生してくるずっと前、この世界に最初に現れたという黒い瘴気を放つ巨大生物。僕はしばらく後、その黒い瘴気を放つ巨大生物が、人類を蹂躙している時に現れたという不思議な少女の話を聞くことになる。

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