第45話 ここはどこ?

 目が覚めると、ぼんやりとした白い空間にいた。


 ---------------ここはどこ?


 ここがどこだかも分からないが、長い間、寝ていた気がする。

 寝過ぎたせいか身体がダルい。


 ---------------あぁ、ダルい。二日酔いみたいだ。


 記憶がなくなるほど酒でも飲んで路上で寝たのだろかと思ったが、今の僕は巨大生物なので、それはない。

 何があったんだっけ? 記憶がぼんやりとしている。


 ---------------あれ? ニノがまだ寝ている。レム睡眠でも無さそうだし、何だろう?


 暫し落ち着いて考えてみる。僕は暗黒8本首に殺されそうになったことを思い出す。そういえば大変な目にあったんだった。


 僕はニノが膝から崩れ落ちて倒れてしまったことを思い出した。ニノは寝ているのではなくて死んでいる?!

 ニノが死んでしまうなんて、僕はこれから一体どうしたらいいのだろう? ニノがいないなんて考えられない!


 ---------------ニノ、死んじゃダメだ! 目を覚まして! お願い! ニノ!!


 僕は叫んだ!


《んん? ふわぁ、おはようございます‥‥‥》


 ニノは僕の声に反応して、普通に起きた。ニノは死んではいなかった。元気そうだが、眠そうだ。


 ---------------ごめんね。起こしちゃったかな。


《大丈夫です。まだちょっと眠いですけど》


 ---------------なんだか僕もまだ眠いし、もう少しだけ寝る? 二度寝しよう。


《そうしましょう》


 僕らは二度寝をした。そして、体感1時間後、目を覚ました。

 先ほど目を覚ました時は、ぼんやりとした白い空間だったが、今度は光り輝いた空間にいる。少し眩しいぐらいだ。


 ---------------ニノ、おはよう。今度は起きてるね。


《おはようございます。スッキリしましたね》


 今度は、ニノが先に起きていた。シャキっとしている。


 ---------------随分と眩しいけど、ここどこかわかる?


《卵みたいなところです。進化が終わりました》


 ---------------えっ、進化してたの?! 死にそうになったから?


《そうです。もう負けませんよ!》


 ニノが力強い返事をする。


 ---------------おお、凄い自信だ! どう進化したの?


《それは分かりません》


 ---------------え?! 今の自信は‥‥‥?


 どう進化したのか分からないのに、とにかく凄い自信はあるようだ。

 僕らとの戦いの後、暗黒8本首はどうなったのだろうか。まだ暴れているようなら僕らが倒しにいかないと。ニノが謎の自信を持っているから勝てるのだろう。

 しかし、戦う前にどう進化したのか確認してみたい。


 ---------------どう進化したのか確認してみよう。


《はい》


 進化の具合を確認するために、白い光りの中をモゾモゾと動くと、柔らかい壁のようなものにぶつかった。

 気にせず突き破ると、海の中に出た。久しぶりに海を感じる。


 ---------------海だ!


《久しぶりで気持ちいいですね》


 ---------------動きやすいね。


《身体が軽いですね!》


 身体が軽く感じ、グングンと凄いスピードで泳ぐことが出来る。以前も十分に速いと思っていたが、今はそれ以上のスピードだ。

 これは進化の結果だろうか。陸上に出て確認してみたいが、ここはどこの海なのだろうか。ニノなら分かるかな。


 ---------------ここは、どこの海だろう?


《特徴がないので、よく分かりません。海上に船がいます。浮上してみますか?》


 ---------------そうだね。何か分かるかもしれない。浮上してみよう。


 慌てて浮上して海面をバシャバシャと荒らしては迷惑なので、慎重に浮上する。海面から、ちょこんと顔を出すと2隻の軍艦が見えた。僕らを見張っていたのだろうか。


 ----------------挨拶してみよう。


《はい》


 何か反応があるかなと思い、挨拶をしてみることにした。


『ゴガォォン!』(こんにちは)


 しばらく何か反応がないかなと眺めていると、甲板に人影が現れた。

 誰だろうかとよく見ると、人影の正体はファイン少尉に間違いない。


 ---------------ファイン少尉だ! 待っていてくれたのかな。


《嬉しいですね》


 ---------------もしかすると、のんびりしてる場合じゃないのかも。


 わざわざファイン少尉が来ていると言うことは、暗黒8本首がまだ暴れているのかな。

 甲板に上がったファイン少尉がスピーカーを使って話しかけてきた。


「パウンドさんが復活して本当に良かった。嬉しいです」


 ファイン少尉は僕らを待っていてくれた。僕らもファイン少尉に会えてとても嬉しい。


『ピヤアアアン!』(ありがとう)


「さっそくで申し訳ないんですけど、8本首が2匹に増えました!」


 2匹に増えた!? それはズルくない?


 ---------------2匹に増えたって。勝てるかな?


《‥‥‥分かりません》


 さすがのニノでも2匹に増えているなどと想像していない。このまま再戦して勝てるのだろうか。



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