第42話 本島防衛戦?
ジャピア王国では、ナオト少尉とツムギ少尉がメカパウンド専用ドローンの操作訓練を兼ねつつ、8本首やオタマジャクシ型の巨大生物の映像を収集していた。特に8本首の巨大生物については、敵と認識した相手への対応、火球を出す動作、攻撃を受けた際の反応など様々な映像を収集していった。
「技術班は、相手についてのデータ量が多くなればメカパウンドの動きは予知レベルまで達するはずと言っていた。私たちがここで頑張らないと」
2人はそう言って昼夜を問わず、様々な角度から8本首とオタマジャクシ型の巨大生物の映像を収集し続けた。
◇
南山島の監視を続けて数週間後。監視班はオタマジャクシ型の巨大生物の半数近くが、ジャピア王国の本島を目指して移動を開始する姿を確認した。
ジャピア王国は、オタマジャクシ型の巨大生物の本島襲撃を警戒して艦隊を南山島の北部海域に展開していた。その艦隊に対し、本島を目指して南山島北海岸へ現れたオタマジャクシ型の巨大生物への攻撃命令が発せられる。
しかし、何匹ものオタマジャクシ型の巨大生物が艦隊からの攻撃を掻い潜り、海中へと進んでしまう。
戦闘の様子を確認していたユウリ室長は決断する。
「メカパウンドを出す。すでに首相の許可は取っている。ナオト少尉、ツムギ少尉、2人はメカパウンド運用部隊と連携して戦闘に参加してくれ。ヤツらを本島へ侵入させるな」
艦隊による第一次防衛線を突破したオタマジャクシ型の巨大生物が本島の南海岸へ到達し始めていた。
沿岸に配備されている陸上部隊が迎撃をしているが、徐々にオタマジャクシ型の巨大生物に押され始めていた。
その上空に巨大な輸送機が現れる。輸送機の下部には、パウンドを模した形状の巨大な
メカパウンド2番機
メカパウンド2番機が輸送機から放たれる。
ドシュッ! という音がして身体の各所に装備されたスラスターが起動する。メカパウンドは輸送機から降下し、オタマジャクシ型の巨大生物を踏み潰しながら着地する。
そして、メカパウンドの眼であるツムギ少尉とナオト少尉たちが遠隔操作する専用ドローンがメカパウンドの上空を舞う。
メカパウンドは、オタマジャクシ型の巨大生物を圧倒した。メカパウンドは、パウンドの骨格のような形状で軽量化されており、オタマジャクシ型の巨大生物とはスピードレンジが違う。
メカパウンドはオタマジャクシ型の巨大生物の微細な動きを見逃さず、事前に収集した膨大なデータと照合、解析をする。そして、先回りするようにオタマジャクシ型の巨大生物を倒していく。
メインウェポンはレールガン。その威力は凄まじくオタマジャクシ型の巨大生物を一撃で撃ち抜いていく。
「ブッシャアアア!!!」
「ブッシャアアア!!!」
オタマジャクシ型の巨大生物は、仲間が次々に倒されていく状況に恐れをなしたのか、南山島へ引き返していった。
ジャピア王国は海上艦隊、陸上部隊、メカパウンド2番機の奮闘により、オタマジャクシ型の巨大生物の本島への襲撃を阻止することに成功した。
◇
一方、アルティア共和国にある巨大生物防衛軍の情報部センター室。ノックス中尉とファイン少尉は見失ったパウンドの捜索を懸命に続けていた。
「8本首の巨大生物がオメガ級に認定された。聞いているか?」
モニターを眺めながら、ノックス中尉がファイン少尉へ話しかける。
「ええ、先ほど聞きました。あれだけの被害を出したのにオメガ級の認定は遅かったですね」
「被害が発生したのが、我が国ではなくジャピア王国だからな」
「それが理由で。でも、これにより強力な対策を取れますよね。例のメカパウンド計画も進んだようですし」
「そうだな。我々にとってもジャピア王国での戦闘は他人事ではないからな」
「そうですね」
「よし、そろそろファイン少尉の推測した地点へ調査艇が到着する。ファイン少尉も一緒に映像を確認してくれ」
「はい。もちろんです。私は今日の調査地点を最も期待しています」
ノックス中尉は、複雑に入り組んだ地形、海流の中にあっても調査艇を器用に操作して、海中の様子をモニターに映し出す。ノックス中尉とファイン少尉は、モニターに映し出される映像を注意深く確認する。
海底の捜索を続けていると、ファイン少尉が何かに気がついた。
「あ、あれ。右の方に調査艇を進めて下さい。何か映ってませんか?」
「何だ、アレは?!」
「白い塊? 卵でしょうか」
2人が見つめるモニターには、海底の岩陰に佇む不思議な白い塊が映し出されていた。
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