第37話 新たな巨大生物?
噴火の様子は、巨大生物特別対策室でも確認されていた。
「よりによってこんな時にアソジ山が噴火するとは……」
「噴火の規模は小さいようですね」
「噴火の方はウチの管轄ではない。防災庁に任せよう」
アソジ山火口周辺の映像が映し出されたモニターを見つめながら、巨大生物特別対策室のメンバーが会話をする。他のメンバーと同様にモニターを見ていたツムギ少尉がモニターに映る何かを発見した。
「ここを見て下さい。何か映ってないですか?」
モニターには、黒煙の中にモゾモゾと動く巨大な物体が映し出されていた。
「この巨大な物体は何だ? まさか新たな巨大生物?!」
ナオト少尉が驚きの声を上げる。巨大生物特別対策室のメンバーはモニターを注視する。そのモニターに映る黒煙の中から巨大な物体が這いずりながら姿を現す。
それは見たことのない巨大生物だった。世界中で初めて観測する巨大生物だ。
8本の長い首。その8本の首の先には蛇のような頭部がある。
鋭い牙を持つ大きな口。紅く輝く鋭い眼。
8本の長い首を支える太い胴体に手足はない。
8本の長い首を持つ巨大な蛇のような生物。
そして、身体全体から黒い瘴気を発していた。
「こ、これは8本首の大蛇?!」
「黒いオタマジャクシ型だけでもどうしようもないのに!」
「あの黒い瘴気のようなものはアルティア共和国に現れた巨大生物と同じものか?」
「ユウリ室長へすぐに報告だ!」
「南山島はどうなってしまうんだ?!」
巨大生物特別対策室のメンバーが思うままを口にする。
8本首の巨大生物は火口から南へ向かい真っ直ぐに進み始めた。
「この8本首はどこへ向かっている?!」
「‥‥‥このまま真っ直ぐに進むとアルティア共和国から派遣された巨大生物パウンドがいます。シイマト川、下流域で交戦の可能性が高いです!」
「なんだと?! あの2匹が衝突するというのか?!」
◇
僕らは侵入した暗黒オタマジャクシを追って内陸部へ進んでいた。出来る限り頑張って暗黒オタマジャクシを倒しているのだが。
---------------きりがないね。
《多過ぎますね》
ジャピア王国の軍隊や沿岸に到着したアルティア共和国の艦隊も暗黒オタマジャクシを撃退している様子を確認した。しかし、それでも暗黒オタマジャクシの数が多過ぎて終わりが見えない。
そんな中、洋上艦から高速ヘリに乗りかえノックス中尉が僕らのところへ連絡をしに来てくれた。
「
別の巨大生物が向かってきている?!
---------------別の巨大生物だって。何だろう。
《どんなのが来るんでしょうか》
---------------全然わからないね。ノックス中尉たちも混乱しているみたいだし。
しばらく暗黒オタマジャクシを倒しながら周囲を警戒していると、先ほど噴火した火山の方からこちらに向かってくる土煙をニノが発見した。
《あれでしょうか》
---------------あの土煙か、怪しいね。
まだ遠くてよく分からないが、とても怪しげな土煙だ。
しばらく眺めていると、その土煙が上空に向かって火球を発射する様子が確認できた。
《今、火の玉が見えましたよ》
---------------あっ! 戦闘機に当たったみたいだ!
アレが僕ら目指して向かってくるのなら僕らは街から離れた方が良いだろう。海に戻った方が良いのだろうが、すでに内陸に入り過ぎている。今から戻って間に合うかどうか。
---------------海岸方面へ戻りながら広い場所で迎え撃とう。
僕らは暗黒オタマジャクシの対応をしながら移動する。
暗黒オタマジャクシが邪魔で思ったように進むことが出来ずにいると、怪しげな土煙がすぐ近くまで迫ってきていた。
その土煙を注視すると、土煙の中に複数の蛇のような頭部が確認できた。
---------------何あれ? 頭がいっぱいある?! 蛇の頭?
《頭が8つありますね。首が8本に分かれていますよ》
---------------こいつも黒い瘴気、暗黒8本首か。
暗黒8本首はジャピア王国の軍隊を蹴散らしながら、こちらに向かって進んでくる。暗黒8本首は好き勝手に火球を吐き、街へ甚大な被害を与えていた。
---------------街がめちゃくちゃに破壊されている‥‥‥
《酷いですね》
---------------暗黒8本首め! アイツはここで倒したいね。勝てるかな。
《私たちだけでは無理かもしれませんが、人間が助けてくれれば》
---------------そっか。今回はノックス中尉たちがサポートしてくれるのは間違いない。やってみよう。
《はい》
僕らは周囲に民家のない河川敷に陣取った。
ここで黒い瘴気を纏う8本首の巨大生物を迎え撃つ。
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