第27話 会話する?
僕らがモフモフ島と呼んでいる島。大小5つの島が連なっている。その5つの島の中で、山があり木々が生いしげっている一番大きな島が、僕らのお気に入りの島だ。その島によく上陸してくつろいでいる。
僕らがモフモフ島と呼ぶ5つの島々を軍人さんたちは、バムダ諸島と呼んでいた。
島にたくさんいる僕らがモフモフと呼ぶ巨大生物、人間はアルファ・スリーと呼んでいる。アルファ級は人間に危害を与える恐れがない分類とのことだった。
そして、僕らはデルタ級。最も人間に危害を与える恐れがあると思われている。危害を与える気はないので、いずれは違う分類にして欲しい。
◇
僕らはモフモフ島の浜辺でこちらへ向かってくる飛行機を待っていた。足元にはモフモフたち。
この島で最初に飛行機に発見された時には死ぬほど爆撃されたけど、今では近づいてくる飛行機が楽しみだ。飛行機を見つけたモフモフたちも全く逃げない。
飛行機が上手に浅瀬へと着水し、ファイン少尉とノックス中尉の2人がモフモフ島へ上陸してきた。
「こんにちは」
まずはファイン少尉に挨拶された。
それを聞いて僕らは、いつもの挨拶をお返しする。
『ゴガォォン!』(こんにちは)
それを聞いて、ファイン少尉がニッコリと微笑んだ。
「
続いてノックス中尉が話しかけてくる。
【元気です】
今度はチカチカチカッとツノを点滅させて返事をする。今の僕らはモールス信号で返事をすることも出来るようになっている。ただしツノモールス信号は、ノックス中尉やファイン少尉など限定した面々だけに使用している。制限もあるし長い会話は出来ないけれど、とても便利だ。
◇
「さっそくですが、今日はパウンドさんにお願いがあるんですけど、聞いてくれますか?」
ファイン少尉のお願いとは珍しい。一体どんなお願いなのだろうか。
【何でしょうか】
僕らがツノを点滅させて返事をすると、それに対してファイン少尉が答えてくれる。
「これから先、本土へ近づく巨大生物を追い払ってくれませんか?」
僕らが巨大生物を追い払う?
いつも巨大生物に対して凄い物量で攻撃する軍隊を持っている国なのに、僕らが必要なのだろうか。確認してみる。
【僕らが必要ですか】
「はい。理由の一つに防衛軍の戦力に限りがあるということがあります」
世界でも有数の国家らしいが、その軍隊でもまだ不足なのか。
理由の一つということなので、他の理由も聞いてみたい。
ひとまずツノを点滅させて相槌しておく。
【はい】
「もう一つは巨大生物が、私たちの国であるアルティア共和国の役に立つということを示して欲しいんです。もっと多くの人にパウンドさんは安全だと知ってもらえるようにと思ってます」
なるほど、それは僕らにとっても良いことだ。
僕はOKだけど、ニノの意見も聞いてみよう。
---------------ニノはどう思う?
《良いと思います》
ニノも良いなら問題はない。
僕らは、ファイン少尉のお願いを受けることにする。
【はい。やってみます】
僕らの返事を見て、ノックス中尉が頷きながら満足そうに言う。
「
僕らもノックス中尉と共になら悪くない。
連絡はどうするのかと思ったが、そこは当然、考えてくれていた。
「
ノックス中尉が隣の一番小さい島を指差しながら問いかけてきた。
確かにあの島はモフモフが少ないので、モニターを設置しても大丈夫だと思う。
【良いです】
「それは良かった。近日中に設置作業に入るから宜しくな」
◇
数日後。僕らがいる隣の島へ大きな船が来て物資を運び込んでいる。
---------------工事が始まったね。
《どんなものが出来るんでしょうね》
一生懸命に設置をしている姿を眺めていると、作業員が僕らの方をチラチラと覗ってくる。
---------------やっぱり怖いのかな?
《挨拶してみますか》
---------------おお、挨拶! やってみようか。
やはりコミュニケーションをとるには、挨拶からだ。知らない人たちだし、少しだけ緊張する。よしいくぞ。
『ゴガォォン!』(こんにちは)
挨拶というか、僕らの雄叫びを聞いた作業員の手は止まり、全員がこちらを向いた。驚かせてしまったようだ。
---------------驚かせてしまったね。
《失敗ですね》
---------------確実に伝わるのはファイン少尉とノックス中尉ぐらいだね。
《そうですね》
脅かしてしまい申し訳ないので、僕らは大人しく海に潜っていることにした。
工事中のモニターが完成すれば、色々な情報を得ることもできそうだ。完成を楽しみに待つとしよう。
〜あとがき〜
カッコの違い説明。
誰が話したか分かるようにしているつもりですが、文章を書く技術が不足しているので補足です。
「○○○」
ファイン少尉やノックス中尉など人々が普通に話している時の言葉。
【○○○】
パウンドがモールス信号で発した言葉。
---------------○○○
僕(主人公)がニノに話している言葉。
ニノにしか聞こえない。
《○○○》
ニノが僕に話している言葉
僕(主人公)にしか聞こえない。
『○○○』
パウンドなど巨大生物の鳴き声など、その他。
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